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TSMC30周年、医療用AI商機に期待


ニュース 電子 作成日:2017年10月24日_記事番号:T00073525

TSMC30周年、医療用AI商機に期待

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は24日、創業30周年記念式典を開催し、張忠謀(モリス・チャン)董事長は、今後10年でAI(人工知能)の影響が最も大きいのは医療分野と予言した他、アップルとの緊密な提携関係を強調した。アップルのジェフ・ウィリアムズCOO(最高執行責任者)は、今後10年はバイオテクノロジー医療に照準を合わせ、アップルウオッチに加え、スマートフォンにもAI機能を搭載すると述べた。アップルの生体認証機能が、今後TSMCの大きな商機となりそうだ。24日付経済日報などが報じた。

/date/2017/10/24/00tsmc_2.jpgエヌビディアの黄仁勲(ジェンスン・フアン)CEO(最高経営責任者、右2)、クアルコムのスティーブ・モレンコフCEO(右3)ら大口顧客をはじめ、2,000人以上が祝賀に駆け付けた(23日=中央社)

 TSMCは30周年記念イベントで「半導体業界の今後10年」と題したフォーラムを開催した。半導体業界を代表する8人が講演し、そろってAI商機に期待感を示した。

 アップルのウィリアムズCOOは、AIの発展で人々の生活がより良くなると期待しており、最新プロセッサー「A11」に顔認証システムなどバイオテクノロジー関連技術を採用しているが、今後も採用が進むと述べた。

 アップルウオッチシリーズ3で心拍数測定の精度は医療レベルに向上した。アップルはアップルウオッチの心拍数測定値について、米スタンフォード大学の臨床医、遠隔医療サービス会社のアメリカンウェルと、共同研究している。心臓病などの疾病についても研究しているとされる。

 ウィリアムズCOOはまた、TSMCはアップルのために90億米ドルを投じ、南部科学工業園区(南科)Fab14(12インチウエハー工場)に生産能力を整備し、卓越した技術力で5億個のチップを生産したと協力に謝意を示した。直接の言及はなかったが、アップルの次世代プロセッサー「A12」はTSMCが7ナノメートル製造プロセスで独占受注すると予想されている。

スマホ向け売上高、依然過半

 張董事長は、今後10年の成長エンジンはAIを用途の一つとするHPCをはじめ、▽モバイル端末▽カーエレクトロニクス▽IoT(モノのインターネット)──の4分野とみており、TSMCは2020年まで売上高と利益の5~10%成長が続き、業界平均を上回ると述べた。なおTSMCは、来年売上高はスマホ用チップが過半を占めると予測している。

 ムーアの法則(半導体の集積密度は18~24カ月で倍増する)について張董事長は、30年まで維持できるが、25年に経済的な限界に直面すると予測した。

/date/2017/10/24/00tsmc2_2.jpg蔡英文総統(右)も晩餐会に参加し、張董事長(中)と張淑芬婦人(左)の出迎えを受けた(23日=中央社)

 TSMCは87年設立。世界で初めてファウンドリーの業態を採用し、半導体業界にIDM(垂直統合型の半導体メーカー)のファブレス、ファブライト化、IC設計会社の発展など、大きな変化をもたらした。現在、TSMCの世界市場シェアは56%で30年連続首位、年産能力は12インチウエハー換算で1,000万枚に上る。先進プロセスでも他社をリードしており、7ナノプロセスが目前だ。昨年の売上高は9,479億台湾元(約3兆5,500億円)で今年1兆元に迫っている。23日の時価総額は6兆2,000億元で、インテルを上回り、半導体業界で首位だ。