ニュース 電子 作成日:2017年11月7日_記事番号:T00073787
アップルの新型スマートフォンiPhoneX(テン)は、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がアップルの新型プロセッサー「A11」にとどまらず、ブロードコムのワイヤレス充電チップモジュール、NXPセミコンダクターズの近距離無線通信規格「NFC」チップなど全てを受託生産している。iPhoneXは高価格ながら3日の発売当初より売れ行き好調で、張忠謀(モリス・チャン)董事長の「スマホは依然成長エンジン」との発言どおり、同社の業績に大きく寄与する見通しだ。7日付経済日報が報じた。
iPhoneXは5.8インチながらオールスクリーンのため、握った感覚は5インチ並みだ(中央社)
電子デバイスの修理を手掛けるiFixitの分解レポートによると、iPhoneXは「歴代モデルで最も高いiPhone」にふさわしく、インテル、ブロードコム、テキサス・インスツルメンツ(TI)など、大手半導体メーカーのチップが採用されている。
クアルコムがiPhoneXに供給するLTEトランシーバーチップ、モジュール、パワーマネジメント(電源管理)ICなどはTSMCが製造し、後工程のパッケージング・テスティング(封止・検査)は日月光半導体製造(ASE)、矽品精密工業(SPIL)が担っている。インテルが供給しているワイヤレストランシーバーモジュールも、TSMCがチップを受託生産し、SPIL、京元電子(KYEC)が後工程を担っている。
Wi-Fi・ブルートゥース通信モジュールは、ASE傘下の環旭電子(ユニバーサル・サイエンティフィック・インダストリアル)が供給している。
iPhoneXの内蔵メモリー(RAM)は3GB LPDDR4xでSKハイニックス製、フラッシュメモリーは東芝製で、台湾メーカーは含まれていなかった。
2セルバッテリー、ユニテックが基板
iPhoneXは初めてバッテリーを2セル化しており、このバッテリー用プリント基板(PCB)は燿華電子(ユニテック・プリンテッド・サーキット・ボード)が供給している。また業界では、一部採用された高密度(HDI)基板は華通電脳(コンペック・マニュファクチャリング)、臻鼎科技控股(ZDT)、景碩科技(キンサス・インターコネクト・テクノロジー)が供給しているとみられている。
フレキシブルプリント基板(FPC)は台郡科技(フレキシウム・インターコネクト)とZDTの他、嘉聯益科技(キャリア・テクノロジー)が日本メーカーから受注を奪い取った。
カメラレンズは依然、大立光電(ラーガン・プレシジョン)が主要サプライヤーだ。
組み立て複雑、鴻海が全受注
iPhoneXは米国時間9月12日の発表から出荷開始まで2カ月近くかかり、「歴代モデルで最も製造困難なiPhone」といわれており、鴻海精密工業が15以上の工程から成る組み立てを行っている。
製造の難易度が高い理由は、iPhoneXが初めて有機EL(OLED)パネル搭載によるオールスクリーン(狭額縁設計のインフィニティディスプレイ)を採用し、3D(3次元)顔認証システム「フェイスID」を導入したことにある。
業界関係者によると、オールスクリーンはディスプレイが大型化するだけでなく、パネルの切り出し、カメラセンサーの埋め込み、アンテナ、カメラ構造の設計など、各メーカーの技術力が試される。
またiPhoneXは「フェイスID」で3万以上のドットを投射して個人を識別するため、前面にカメラ、スピーカー、マイクだけでなく、▽環境光センサー▽近接センサー▽赤外線カメラ▽投光イルミネーター▽ドットプロジェクター──などを搭載しており、これら部品の小型化が必須だ。
さらに、有機ELパネルとタッチパネルセンサー(TPセンサー)の第1次貼り合わせを行った後、3D(3次元)圧力センサーモジュールとの第2次貼り合わせを行うなど、貼り合わせ工程も増加している。
こうした複雑な製造工程を経たiPhoneXは、販売価格だけでなく、修理サービス料金も歴代モデルで最も高い。アップルの公式サイトによると、修理料金は▽画面の損傷、9,188台湾元(約3万5,000円)▽その他の損傷、1万7,900元──と、他社のスマホ本体価格と変わらない。
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