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CPTPP大筋合意、台湾加入に現実味


ニュース その他分野 作成日:2017年11月13日_記事番号:T00073894

CPTPP大筋合意、台湾加入に現実味

 米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国による「包括的および先進的TPP協定(CPTPP、TPP11)」の大筋合意を受け、経済部の沈栄津部長は11日、第2ラウンド交渉に参加したいと表明した。CPTPPは、台湾を重要なパートナーと位置付ける日本が主導しており、中国の圧力によって2国間の自由貿易協定(FTA)締結が困難な台湾も、加入できる可能性が高い。CPTPPは米国の復帰を想定しており、台湾にとって念願の地域経済統合への参画が実現すれば、輸出面のメリットを享受できる上、環太平洋諸国との関係を強化できる政治的恩恵も大きい。13日付聯合報などが報じた。

/date/2017/11/13/00shen_2.jpg沈経済部長は、CPTPP大筋合意は台湾にとって朗報で、TPPより規定が緩和され、台湾も達成しやすくなったと述べた(9日=中央社)

 経済部国際貿易局(国貿局)の楊珍妮局長は、CPTPP参加11カ国の経済規模は10兆米ドルで、全世界のGDP(国内総生産)の13.6%を占め、台湾の2016年貿易総額に占める割合は25.25%に上ると説明した。中でも日本、シンガポール、マレーシア、ベトナムは台湾にとって10位以内の貿易相手のため、CPTPPに加入できれば、輸出が主力の製造業の市場開拓に有利に働くと指摘した。

 楊局長は、CPTPPは実施を先送りする凍結項目が20項目あり、従来のTPPより条件が緩和されたため、台湾が加入を申請する場合に産業界が要件を満たしやすくなったと述べた。産業界への打撃について楊局長は、まだCPTPPの内容が確定していないので評価していないと語った。

 通商交渉の責任者を務める鄧振中・行政院経貿談判弁公室総談判代表(政務委員)は、11カ国が米国の復帰を望んでいるほか、加入に関する条文が加わったことから、新メンバーも歓迎されていると指摘。べトナム・ダナンで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の期間中も、条件を満たせば参加を歓迎すると各国から声を掛けられており、加入に向けて準備を急ぐと語った。

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韓国キャッチアップが必須

 中華経済研究院(中経院、CIER)の李淳副執行長は、台湾は2国間の貿易協定が困難なため、CPTPP加入は重要な意味を持ち、特に韓国などライバルに先を越されれば、台湾のプレッシャーは高まると述べた。

 元大宝華綜合経済研究院の梁国源董事長も、産業の海外流出を防ぐには、高度化か製品の競争力向上を図るしかないが、もしCPTPPに加入できなければ、関税で価格面の競争力が失われ、石油化学、紡織産業など産業の海外流出が進むと予想した。そうなれば、台湾の失業率が上昇、賃金は伸び悩むと指摘した。

参加実現・実質効果に悲観視も

 台湾経済研究院(台経院、TIER)の孫明徳・景気予測センター主任は、両岸(中台)関係が冷え込んでいる状態で、台湾が参加できるとは考え難いと述べた。また、米国が抜けたCPTPPは、日本の市場規模は比較的大きいものの、ベトナム、ニュージーランドなどは輸出国なので、台湾にとって実質的なメリットは限定的だと述べた。

 自動車部品メーカーの主管は、グローバル化で世界各地に生産拠点があるので、台湾のCPTPP加入は、それほど影響がないと語った。

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