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半導体ウエハー逼迫、2020年分の調達交渉着手


ニュース 電子 作成日:2017年11月14日_記事番号:T00073921

半導体ウエハー逼迫、2020年分の調達交渉着手

 半導体シリコンウエハー世界3位で台湾最大手の環球晶円(グローバルウェーハズ、GWC)は13日、受注が満杯で、顧客の要望で2020年の調達交渉が始まっており、価格上昇は必然との見方を示した。シリコンウエハー市場の10年ぶりの大幅な供給不足は、ファウンドリーやメモリー業界の好況や、中国で稼働が相次ぐ半導体12インチウエハー工場の需要を反映している。14日付自由時報などが報じた。

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 グローバルウェーハズの12インチウエハー生産能力は19年末まで予約で押さえられており、19年上半期の8インチウエハー受注も満杯で、6インチウエハーまで供給不足が拡大している。

 李崇偉同社広報担当は、12インチウエハーはメモリー、イメージセンサー、ロジックIC、8インチウエハーはIoT(モノのインターネット)、車載用IC、パワーマネジメント(電源管理)IC、イメージセンサー、アナログICの生産に使われると説明した。

 市場調査会社の予測によると、12インチウエハー需要は17~21年の年平均成長率(CAGR)が7.1%で、8インチウエハー需要は2.1%だ。李氏は、全世界の12インチウエハー月産能力は550万枚で、毎年5%(20万~30万枚)ずつ増えると見通しを示した。

 李氏はまた、11年当時の半導体用シリコンウエハー価格は1インチ当たり1米ドルを超えており、まだ価格上昇の余地があると指摘した。昨年の価格は0.67米ドルで、今年第1四半期に0.69米ドル、第3四半期に0.76米ドルまで上昇した。

董事長自らウエハー確保

 ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)、サムスン電子、インテルなどは、シリコンウエハーメーカーとの長期的な良好な関係から、供給不足の影響はそれほど受けない見通しだ。一方、中堅以下の半導体メーカーはウエハーを確保できず、生産に支障が出る恐れがある。

 メモリー大手、旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル、MXIC)の盧志遠総経理は、各社がシリコンウエハー調達に躍起となっており、12インチウエハー価格は1枚100米ドルを超えたと話した。NOR型フラッシュメモリー、NAND型フラッシュメモリー需要が旺盛で、顧客に出荷を急かされているため、呉敏求董事長とともにシリコンウエハーメーカーを訪問して、確保に努めていると話した。

 業界関係者は、過去10年の間シリコンウエハー市場は供給過剰が続き、生産能力の増強がなかったと説明。今年、半導体需要が大幅に成長した上、中国で半導体12インチ工場の稼働が相次ぐことから、18~19年はシリコンウエハーの「スーパーサイクル(飛躍的な需要拡大)」が起こると予想した。ただ、シリコンウエハーメーカーが生産能力を増強したり、中国の半導体12インチ工場の生産が軌道に乗らなければ、市場のシリコンウエハー不足が解消する可能性もあると述べた。

Q3純利益、前年の4倍

 シリコンウエハー大手、中美矽晶製品(シノアメリカン・シリコン・プロダクツ、SAS)傘下のグローバルウェーハズは昨年12月に米サンエジソンを買収し、12インチウエハー月産能力が75万枚で世界市場シェア14%、8インチウエハーは100万枚で世界シェア23%となった。今年第3四半期の世界市場シェアは18%で3位、信越化学工業(シェア28%)とSUMCO(シェア27%)に次ぐ。李氏は、台湾と世界に工場16基を保有しており、来年末までに12インチウエハーの生産能力をボトルネック除去で増強すると述べた。

 グローバルウェーハズの今年第3四半期の連結売上高は119億7,800万台湾元(約450億円)で前期比6.9%増、前年同期の2.8倍。純利益は16億5,200万元で前期比27.8%増、前年同期の4.46倍だった。1株当たり純利益(EPS)は3.78元で過去最高を更新した。

【図】