ニュース 電子 作成日:2017年11月15日_記事番号:T00073942
スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)は14日中国で、VR(バーチャルリアリティー)端末の本命と目されるスタンドアロン型(一体型)VR対応ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着ディスプレイ、HMD)「Vive Focus」を発表した。中国市場向けに独自開発したVRオープンプラットフォーム「Vive Wave」を採用し、グーグルのVRプラットフォーム「デイドリーム」搭載機の共同開発から手を引いた。スマホ不振に苦しむHTCは、2021年に世界最大のVR市場になることが予想される中国でまず業界標準を打ち立て、VRの主導権を握る構えだ。15日付工商時報などが報じた。
「Vive Focus」は発表イベントに開発者500人以上が詰め掛け、7万人以上がライブ配信を視聴するなど、高い注目を集めている(HTCリリースより)
HTCはVive開発者フォーラムで、同社初のスタンドアロン型「Vive Focus」について、パソコン、スマホ、ゲーム機に接続せず、ケーブルなしで使用でき、設定せずにいつでも使える大衆向けVRヘッドセットだと説明した。クアルコムのモバイルVR用プロセッサー「スナップドラゴン835」を搭載し、2個の内蔵カメラで位置を追跡する「インサイドアウト・トラッキング」が可能なほか、6DoF(シックスドフ)対応でVR空間内で自由に動き回れる。スペックの詳細や発売日、販売価格は未公表だ。
従来のHTC Viveは企業やゲーマー向け、Vive Focusはライトユーザー、学生向けの映画鑑賞、交流用としてすみ分けを図る。
フェイスブック(FB)傘下のオキュラスVRも10月にスタンドアロン型VRヘッドセット「オキュラスゴー」を発表しており、年明けに発売予定だ。スタンドアロン型は今後2年、VR市場の成長エンジンと見込まれ、18年の出荷台数は600万台、20年に2,000万台と予想されている。
最高値ながら中国シェア82%
HTCの汪叢青Vive中国地区総経理は、中国でスタンドアロン型VRヘッドセットを発売すると6月に発表した後、第3四半期の中国VR市場では、スタンドアロン型の構成比が24%と上半期の10%未満から拡大し、PC接続型(20%)を上回ったと指摘した。このことから、HTCのスタンドアロン型VRヘッドセットへの期待感が感じられ、来年のVR市場は急成長すると予想した。
HTC Viveは、中国で販売されている400種類以上のVR端末で最も販売価格が高いが、第3四半期はPC接続型VRヘッドセット市場でシェア82%と、中国のHypereal(シェア6%)、オキュラスVR(シェア4%)などに圧倒的な差を付けている。
中国メディアの報道によると、中国は21年にVR市場規模が790億2,000万人民元(約1兆3,500億円)に上り、世界最大となる見通しだ。
クアンタと提携
HTCは同日、台湾の受託生産メーカーの広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、および中国のVR端末ブランドの小鳥看看科技(PicoVR)、小派科技(上海)など11社と提携したと発表した。オープンプラットフォームのVive Waveは、スタンドアロン型やスマホ接続型VR端末にも対応可能で、小規模なブランドはクアンタに生産を委託することで、Vive Wave対応VR端末を販売できると説明した。また、Vive Wave対応のVRコンテンツ開発が既に世界で35件以上着手されているほか、Vive WaveリリースによりオキュラスリフトやグーグルのデイドリームのVRコンテンツも1週間以内にHTCのコンテンツストア「Viveport」に移植できるようになったと説明した。
HTCは、グーグルの「デイドリーム」搭載のスタンドアロン型VRヘッドセット「デイドリームビュー2」を年内に発売できないので、共同開発をやめると説明した。HTCのほか、聯想集団(レノボ)も、グーグルのスタンドアロン型VRヘッドセット提携パートナーだった。
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