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10月輸出受注が同月最高更新、大型パネルは陰り


ニュース その他分野 作成日:2017年11月21日_記事番号:T00074049

10月輸出受注が同月最高更新、大型パネルは陰り

 経済部が20日発表した10月の輸出受注総額は466億米ドルと同月の過去最高を更新し、前年同月比9.2%増と15カ月連続のプラス成長だった。アップルの新型スマートフォンiPhone8シリーズとiPhoneX(テン)効果で来年第1四半期まで旺盛な受注が続く見通しだ。ただ、液晶パネルなど光学器材の伸びが大幅に縮小しており、中国での新工場稼働の影響を受けた。21日付経済日報などが報じた。

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 1~10月の輸出受注総額は3,956億4,000万米ドルで同期の過去最高、前年同期比10%増と、6年ぶりの2桁成長だった。11、12月も同月の過去最高となり、今年通年でも前年比10%増で、過去最高を更新する見通しだ。ただ、台湾元換算の10月輸出受注総額は4.6%増、1~10月は3.9%増にすぎず、為替相場による見せ掛けの好調との指摘もある。

海外生産比率57%、年初来最高

 国・地域別の10月輸出受注額は▽中国(香港含む)、108億3,000万米ドル(前月比2.9%減、前年同月比13.2%増)▽米国、137億9,000万米ドル(前月比4.6%増、前年同月比6.5%増)▽欧州、108億米ドル(前月比11%増、前年同月比13.8%増)──と、iPhone効果でいずれも100億米ドルを超え、中国は同月の過去最高、米国と欧州は過去最高を更新した。

 ほかは▽東南アジア諸国連合(ASEAN)、40億7,000万米ドル(前月比5.3%減、前年同月比13.7%減)▽日本、27億6,000万米ドル(前月比7.5%減、前年同月比22.9%増)──だった。

 ただ、iPhoneなどスマホは主に中国に組み立て工場があり、10月の海外生産比率は57.3%と年初来最高となった。今年1~8月の海外生産比率は50.4~52.8%を推移し、9月は55.8%に上昇していた。年内に60%に近づく可能性がある。

 林麗貞・経済部統計処長は、輸出受注の大部分が海外で生産しているので、台湾の製造業景気への貢献は限定的だと指摘した。

中国パネル新工場が懸念

 製品別の10月輸出受注額は、▽情報通信技術(ICT)製品、158億7,000万ドル(前月比8.2%増、前年同月比9.8%増)▽電子製品、119億7,000万米ドル(前月比2.1%増、前年同月比4.5%増)──と、iPhone効果で同月の過去最高だった。

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 一方、パネルなど光学器材は21億8,000万米ドル(前月比5.6%減、前年同月比2.8%増)と、製品別で伸びが最も小さかった。光学器材は昨年11月よりプラス成長を取り戻し、今年1~8月は2桁成長が続いていたが、9月に6.7%増まで伸びが縮小していた。

 林統計処長は、今年7月からパネル価格が下落し、テレビ本体価格が上昇しない中、パネルメーカーが利益確保のために受注量を減らしていると分析した。今後、中国で大型パネル新工場が稼働が進むのに伴い、当初は歩留まり率が低いものの、その後は生産量が上昇し、パネル価格競争が始まると予測を示した。そのため台湾メーカーに対し、高付加価値化や最終製品の組み立てまでの一貫生産など、早めに対策を打つよう呼び掛けた。一方、林統計処長は、スマホで画面アスペクト比18:9の狭額縁設計インフィニティディスプレイ導入が進む中、中小型パネルは大幅に成長しており、第4四半期は生産がピークとなると指摘した。

 ほかの製品は、機械が18億3,000万米ドル(前月比0.3%減、前年同月比9.7%増)だった。また、▽ベースメタル、23億8,000万米ドル(前月比1.3%増、前年同月比13.1%増)▽プラスチック・ゴム製品、19億2,000万米ドル(前月比3.6%減、前年同月比14%増)▽化学品、17億6,000万米ドル(前月比2.9%減、前年同月比17%増)──と、世界景気の回復で、企業の投資意欲が向上し、原油価格も上昇する中、2桁成長を維持した。

【図】【表】