中国メディアの報道によると、華碩電脳（ＡＳＵＳ）はこのほど中国の家電量販店最大手、蘇寧雲商集団と、蘇寧が今後３年で150億人民元（約2,500億円）分のＡＳＵＳ製品を仕入れる契約を締結した。中国でＡＳＵＳ製品の人気が高まる中、蘇寧傘下のインターネット通販サイトでは年初来の販売が倍増、実店舗を含めても４割以上増えている。蘇寧はビッグデータ活用や、スマート店舗、無人店舗にも注力し、来年実店舗5,000店を出店する計画もあり、ＡＳＵＳ製品の中国販売が加速しそうだ。23日付経済日報などが報じた。

　蘇寧雲商（13年に蘇寧電器から社名変更）は中国の家電量販店最大手で、今年８月より南京、上海、北京で無人店舗「蘇寧易購Ｂｉｕ」をオープンしたほか、張近東董事長が来年5,000店の新規出店を表明するなど、中国の家電小売り市場をリアル・ネット両輪でけん引している。

　蘇寧はまた、今年11月初旬、鴻海精密工業の郭台銘（テリー・ゴウ）董事長とも、シャープのテレビ、冷蔵庫、スマートフォンなどあらゆる生活家電を３年で500億人民元調達する契約を結んでいる。

限定商品も開発

　ＡＳＵＳと蘇寧の契約には、蘇寧が市場で初めて発売する商品は両社でリスクを共有するため、ＡＳＵＳに対し設計段階で代金を先払いする内容も含まれる。ＡＳＵＳは、蘇寧傘下のネット通販サイト、蘇寧易購（スニン）で、限定商品を多数発売する計画だ。例えば、インテル第８世代Core iプロセッサー搭載の14インチ薄型軽量ノートパソコンを投入し、年間販売15万台を目指す。また今後、蘇寧傘下のショッピングセンター（ＳＣ）、蘇寧生活広場の10店舗以上で、ＡＳＵＳのゲーミング製品のサブブランド「ＲＯＧ玩家共和国」製品を扱う。

　蘇寧の年初来の販売データによると、ＡＳＵＳのデスクトップＰＣや、ゲーミング（ゲーム用）モニター、マザーボード、ビデオカード、ルーターなどＰＣ自作用部品の販売は前年同期比800％増えている。独身の日（光棍節、11月11日）特売セールでもＡＳＵＳ製品が最も売れた。

独身の日セールも好調

　ＡＳＵＳ製品は中国で、蘇寧以外の販路でも人気が高まっている。

　中国の国慶節（建国記念日、10月１日）連休にちなみ、京東方科技集団（ＢＯＥテクノロジーグループ）が10月２日に開催したネット通販サイトのキャンペーンで、ＡＳＵＳは販売総額が前年の独身の日特売セールの3.76倍と好調だった。うちノートＰＣ販売総額は3.95倍、マザーボードは3.75倍で、ゲーミングモニターやビデオカードは2,500人民元以上の商品もよく売れた。

　ＡＳＵＳの販売データによると、ＢＯＥおよび阿里巴巴集団控股（アリババ・グループ・ホールディング）の通販サイト天猫（Ｔモール）で独身の日、ＡＳＵＳのマザーボードやルーターなどのＰＣ自作部品の販売額はわずか５分で3,000万人民元、２時間で１億人民元を突破した。

　市場調査会社、ＩＤＣの調査によると、ＡＳＵＳは独身の日のネット通販サイトでのノートＰＣ販売台数が２位で、米国、日本ブランドを上回った。首位は中国の聯想集団（レノボ）で11万6,000台だった。

　12月12日にも中国のネット通販サイトのセールが控えており、ＡＳＵＳ製品の快進撃が期待できそうだ。

ゲーム事業売上高、２割増へ

　ＡＳＵＳはゲーム事業の17年売上高で前年比２割以上の増加を目指している。沈振来（ジェリー・シェン）執行長は先日、華人だけでゲーム人口は３億人を超え、潜在商機は巨大だと述べている。

　ＡＳＵＳは、23日より４日間台北で開催されるアジア最大のＬＡＮパーティー（持ち寄りゲームパーティーイベント）、第４回「ワイヤーフォース」に協賛し、ゲーミング製品サブブランドの「ＲＯＧ玩家共和国」が「ジョイン・ザ・リパブリック」大会を開催している。

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