ニュース 建設 作成日:2017年11月24日_記事番号:T00074127
24日付工商時報によると、伊藤忠商事は、頂新国際集団が保有する台北101の株式37.2%を取得することで同グループと交渉を行っている。順調にいけば来月デューデリジェンス(適正評価手続き、DD)を行い、早ければ来年第1四半期に、台湾のランドマーク、台北101に大株主として名を連ねることになる。
台北101は近年、東京スカイツリー、あべのハルカス(大阪市)と友好協定を締結するなど、日本との交流が多い(台北101展望台フェイスブックより)
消息筋によると、伊藤忠の日本本社と台湾伊藤忠の関係者が22日に台北101の経営陣を訪問した。伊藤忠は台北101への出資意欲を表明したという。
台北101は工商時報に対し、伊藤忠関係者が同日に訪問したのは事実だが、台北101のグリーンビルディング(緑の建築、環境配慮型建物)に関する資料は提供したが、董事会の承認なしにデューデリジェンス関連の資料を提供することはあり得ないと強調した。
台北101は、頂新集団の持ち株売却について昨年決議した内容として▽買い手がデューデリジェンスを行う前に、台北101董事会の承認を得る▽董事会が協議する際に、頂新集団の代表者は席を外す▽董事会がデューデリジェンスの範囲を決定する──を挙げた。また、会社規定に従い、頂新集団が買い手の代わりに提案する際には、董事会開催日の15日以上前に議案を提出しなければならないと指摘した。
工商時報によると、早ければ12月末の台北101の董事会で、頂新集団が伊藤忠によるデューデリジェンス実施を提案する。日台の良好な関係を背景に、伊藤忠への株式売却が決まり、台北101の董事会に外資初の董事として加わる可能性は高い。頂新集団は伊藤忠に対し、現金取引でなく株式交換で保有株式を手放す意向で、既存株主の出資比率に変更はない見通しだ。伊藤忠が台北101の株式37.2%を取得すれば、政府系株主(52%)に次ぐ出資比率となる。
日台交流が後押し
頂新集団は2014年の不正食用油事件を受け、高層ビル「台北101」の運営会社、台北金融大楼の保有株式37.2%売却先として、15年にマレーシア不動産大手IOIプロパティーズと27億4,000万マレーシア・リンギット(約740億円)で交渉したが、IOIに中国資本が含まれている疑いが指摘され、財政部や経済部投資審議委員会(投審会)が反対し、実現しなかった。16年には投資ファンド運用会社ブラックストーン・グループと7億米ドルで売却交渉を行うも、デューデリジェンスの範囲で意見が一致せず、頓挫した。
一方、伊藤忠は、05年10月に頂新集団傘下で、中国の持ち株会社、康師傅控股(カンシーフ)から飲料会社の株式50%を取得し、08年11月に頂新集団に7億1,000万米ドルを出資して株式20%を取得するなど、頂新集団との関係が深い。
また伊藤忠は15年に、台湾伊藤忠、悠遊カード(イージーカード)、中華電信、全家便利商店(台湾ファミリーマート)などとの合弁で、共通ポイントサービスの点鑽整合行銷(UUPON、ユーユーポン)を設立し、株式20%を保有している。
日台の経済交流が進む中、日本企業で、かつ台湾で知名度が高い伊藤忠による台北101出資は、投審会の審査を通過しやすいとみられている。
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