ニュース 電子 作成日:2017年11月27日_記事番号:T00074152
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)と矽品精密工業(SPIL)の経営統合計画が24日、中国の商務部に認可された。2年間は双方が経営の独立性を保つ条件付きだ。早ければ来年5月に両社を傘下に収める持ち株会社を設立する。SPILは同日、蘇州工場の株式の30%を、中国の半導体大手、紫光集団に売却すると発表した。商務部による認可の交換条件とみられており、中国メーカーからの受注拡大の期待感がある一方、実質的な経営統合が遅れる中、中国同業との競争が激化するとの懸念も出ている。27日付工商時報などが報じた。
中国の商務部は、ASEとSPILを合わせれば、世界および中国市場シェアは25~30%に上り、持ち株会社の設立後、差別的な価格設定や値上げなど競争を制限する行為によって顧客の選択肢を狭め、結果として消費者の利益を損ねる恐れがあるとして、4つの条件付きで両社の経営統合計画を認可した。
4つの条件は、24カ月の制限期間中は▽ASEとSPILは従来通りの経営の独立性を維持し、市場での競争を続ける▽持ち株会社に対し、両社の配当、財務諸表の情報を取得する以外の株主の権利を制限する▽顧客に対し、合理的な価格や取引条件で、公平なサービスを提供する▽顧客に対し、サプライヤーの選択を制限しない──というもの。
両社は2016年6月に持ち株会社設立による経営統合を発表した。17年5月までにドイツ、韓国、台湾、米国の競争当局の認可を得たが、同年6月に中国商務部から計画書の再提出を求められ、最後となる中国の審査が長引いていた。
両社は、中国の認可が得られたことで、全ての国・地域の競争当局の審査を通過したため、来年2月に臨時株主総会を開催し、来年5月末にも持ち株会社を設立する。将来、米国と台湾で上場する予定だ。
紫光集団、中国受注に貢献も
紫光集団は15年末、ASEによる株式公開買付(TOB)に抵抗するSPILのホワイトナイトとして、SPILに約25%を出資する計画を発表したことがある。紫光集団は当時、封止・検査大手、南茂科技(チップモス・テクノロジーズ)、力成科技(パワーテック・テクノロジー)への25%の出資計画も発表し、中国政府による支援で勢力を増す「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」に台湾封止・検査業界がのみ込まれると懸念が高まったが、台湾当局の認可が下りず、いずれも失敗に終わった。
市場では、ASEとSPIL経営統合計画の中国の商務部の審査が長引いていたのは、紫光集団がSPILの蘇州工場の技術力、収益性に目を付けていたためとの観測が出ている。
SPILの蘇州工場はこれまで主に華為技術(ファーウェイ)傘下の深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)向けの封止・検査を行っていた。今後、紫光集団傘下のIC設計大手、展訊通信(スプレッドトラム・コミュニケーションズ)と鋭迪科微電子(RDAマイクロエレクトロニクス)と提携し、紫光集団傘下の長江存儲科技(YMTC)や新華三集団(H3C)などのメモリーの封止・検査受注を獲得すると予想されている。
SPILは蘇州工場株式の3割売却で10億2,600万人民元(約174億円)を取得する。これを元手に、中部科学工業園区(中科)でファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(FOWLP)生産能力を増強し、AI(人工知能)、高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)ICの封止・検査専用生産ラインを設置する。また、福建省で2,500万米ドルを投じて工場を設置し、ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)のアモイ工場や福建省晋華集成電路(JHICC)の封止・検査受注を得るとみられている。
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