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行政院が「功徳院」に、頼行政院長の失言に反発


ニュース 社会 作成日:2017年12月4日_記事番号:T00074301

行政院が「功徳院」に、頼行政院長の失言に反発

 頼清徳行政院長が先ごろ、低賃金が問題となっている介護サービス従事者に対し「台湾に対し功徳を積むつもりで仕事に励んでほしい」と発言したことが強い批判を呼んでおり、これに反発する学生団体などが行政院の街頭案内表示の上に、自分たちが作成した「功徳院」ステッカーを貼り付ける運動を展開している。

/date/2017/12/04/19kakomi_2.png「功徳院」のステッカーが貼られたバス停。若者たちからは「スカッとした」などと運動を支持する声が多い(反教育商品化聯盟フェイスブックより)

 頼行政院長は先月24日、衛生福利部(衛福部)のイベントに出席した際、介護サービス従事者の低賃金問題に言及し、「高齢者介護従事者の賃金が3万元余りというのは割に合わず、労働条件は忍耐力の限界を超えている」との認識を示した一方で、「仕事を台湾に対する功徳を積む行為、社会に善行を為していると考えてがんばってほしい」と発言した。

 この発言がメディアによって報じられると、たちまちインターネット上には、「自分の給料を全て寄付して功徳を積め」、「長期介護政策を功徳に頼るのか?」、「全ての公務員の給与を3万元にしろ」といった厳しい批判の声が噴出した。

 また学生団体の反教育商品化聯盟も、台湾には月給3万元以下で働く労働者が300万人以上存在すると指摘し、「社会問題に対し、制度面から解決を探るのではなく、不公平な待遇を受ける者に功徳を強いるのは本末転倒だ」と非難。「低賃金に耐えて功徳を積め」という言い方はブラック企業の経営者と同じだと指弾した。

 同団体は抗議の意を示すため他の学生団体と連携し、行政院周辺の都市交通システム(MRT)駅やバス停などの案内板上の「行政院」の表示の上に、「功徳院」ステッカーを貼り付ける運動を開始。同ステッカーの図案はネット上に公開されたことから多くの賛同者を集めており、既に100カ所以上に貼り付けられている。

 こうした運動に頼行政院長が「気にしていない」とコメントしたため、学生団体から「冷血」とのさらなる批判を浴びることになり、行政院の徐国勇報道官が「ステッカーを貼る行為に対して法的責任を追及しないという意味だ」と釈明に追われることとなった。

 なお頼行政院長は10月にも、消防士が消防活動以外にハチやヘビの駆除に駆り出させている現状に「功徳を積む行為」と発言し、業界団体から「駆除業務により本業に影響が及べば、市民の安全が脅かされることになる」などと批判を受けたばかりだった。

 民進党におけるポスト蔡英文の最右翼として高い期待を背負って登板した頼行政院長。一般市民の気持ちを逆なでするような発言を続けているようでは、支持率にも影響してしまいそうだ。