IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)が最近、ソニーから戦略機種の液晶テレビ用チップの受注を獲得した。液晶テレビ市場では大手・中堅の各ブランドによる値下げ競争が激化しており、各メーカーがコスト削減のため相次いで聯発科のチップを採用している。これに伴い聯発科は今年、液晶テレビ用チップ市場で初のシェア20%を獲得し、単独首位の座を固める可能性が高くなっている。14日付経済日報が報じた。
ソニーが戦略機種の液晶テレビは、聯発科のチップを採用した上で、緯創資通(ウィストロン)および鴻海精密工業が組み立てを行う。聯発科はこれについて、個別の顧客についてのコメントはしない」としつつ、「液晶テレビ用チップは今年の成長の原動力の一つであり、日本と中国のブランドメーカーからの受注を想定していた」と指摘する。ソニーおよびシャープへの出荷開始は第2四半期から第3四半期の間となるもようだ。
聯発科は昨年第4四半期、液晶テレビ用チップの出荷量が540万枚、市場シェア18.9%で米トライデントと並び初めて首位に立った。今年第1四半期は、フィリップスなどの大手メーカー、およびビジオやポラロイドなど中堅ブランドが聯発科の製品を全面的に導入したとされ、この時点で単独首位になった可能性もある。
台湾勢はサービスに強み
市場調査会社、ディスプレイサーチの謝勤益副総裁は液晶テレビ用チップ市場の現状について、「既に技術や生産能力ではなく、サービスを競う時代になった。顧客と密接な関係を築き、最良のサービスをどれだけスピーディーに提供できるが問われる。この点が、台湾のIC設計業者がシェアを拡大し続けられる主因になっている」と指摘する。
生産委託率、来年4割に
液晶テレビ組み立ての生産委託率は昨年23%で、今年は35%、来年は40%以上へと上昇する見通しだ。これに伴い、緯創、鴻海、佳世達科技(Qisda)、瑞軒科技(アムトラン・テクノロジー)、冠捷科技(TPVテクノロジー)、仁宝電脳工業(コンパル•エレクトロニクス)、唯冠電子(プロビュー)などはいずれも受注を拡大する観測だ。台湾IC設計業者は、こうした受託生産メーカーとの協力の下、徐々に一流の大手ブランドへの液晶テレビ用チップの供給を増やしている。
なお、液晶テレビ用チップ市場でも大手が市場を独占する傾向があり、今年は聯発科、トライデント、米ジェネシス、晨星半導体(Mスター・セミコンダクター)の大手4社が最低でも2けたの市場シェアを獲得し、中堅以下との差を広げる見通しとなっている。