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ライトン・紫光がSSD合弁、中国市場の開拓有利に


ニュース 電子 作成日:2017年12月13日_記事番号:T00074469

ライトン・紫光がSSD合弁、中国市場の開拓有利に

 光電関連製品大手、光宝科技(ライトン・テクノロジー)は12日、中国・江蘇省蘇州の子会社が、中国の半導体大手、紫光集団から5,500万米ドル、55%の出資を受け入れると発表した。早ければ来年末にSSD(ソリッドステートドライブ)工場を稼働する予定で、紫光集団が販売を担う。ライトンはSSDに搭載するNAND型フラッシュメモリーを自社で生産していないが、紫光集団から調達できるようになる上、PC世界2位の聯想集団(レノボ)、データセンターを持つ百度(バイドゥ)、阿里巴巴集団控股(アリババ・グループ・ホールディング)、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)からのSSD受注に有利となるため、中国市場開拓に大きく貢献しそうだ。13日付工商時報などが報じた。

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 ライトンは、蘇州SSD工場はパソコン、企業用IT(情報技術)システム、データセンターなどのストレージ向けで、現地の顧客をターゲットにすると説明した。来年初めに工場に着工し、来年末に稼働する予定で、2019年から売上高に貢献する見通しだ。

 ライトンは今年9月に董事会で、蘇州子会社の蘇州光建存儲を4,500万米ドルを投じて設立することを決定していた。中台当局の認可を経て、今後1億米ドルまで増資し、紫光集団が出資比率55%、ライトンが45%とする。

 蘇州光建存儲は、共同執行長(CEO)制とし、ライトンと紫光集団が1人ずつ派遣する。董事はライトンが2席、紫光集団が3席を占める。蘇州光建存儲は生産と工場管理を担い、紫光集団集団は販売面を担う。

PC・データセンター向け

 SSDはノートPCの30%以上に搭載されている。ライトンは、SSD売上高の8割をPC関連の顧客が占めているが、PC用SSD市場シェアは10%未満だ。

 SSD首位のサムスン電子(市場シェア40%以上)、ウエスタンデジタル(WD、シェア11%)はNAND型フラッシュメモリーも生産しているが、消費者向けを主力とするSSD3位のキングストン・テクノロジー(シェア9%)、4位のライトン(シェア推定5~8%)はNAND型フラッシュメモリー生産能力を自社で保有していない。サムスンやウエスタンデジタルから調達するわけにいかないため、ライトンにとって紫光集団との合弁は、NAND型フラッシュメモリー確保のメリットがある。

 紫光集団にとってもライトンとのSSD合弁は、紫光集団傘下の長江存儲科技(YMTC)のNAND型フラッシュメモリー出荷先を確保できることがメリットだ。

 NAND型フラッシュメモリー市場では3D(3次元構造)NAND技術の採用が進んでおり、長江存儲科技も3D NAND生産に成功したと表明している。長江存儲科技が量産を開始するタイミングで、来年サムスンやインテル、ウエスタンデジタルが生産を大幅に増やし、需給が均衡、値下げ競争が起きる恐れがある。このため、紫光集団は長江存儲科技の出荷先確保を急いでいた。

 中国のSSD顧客候補のレノボは、PC世界2位、かつ中国政府調達を落札する可能性も高い。また、「BAT」と称される百度、アリババ、テンセントのほか、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、小米科技(小米、シャオミ)もデータセンターを設立している。企業向けSSD需要は今後数年続く見通しだ。

【表】