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台湾海峡が麻薬密輸の中継地に、中台関係悪化も一因


ニュース 社会 作成日:2017年12月20日_記事番号:T00074613

台湾海峡が麻薬密輸の中継地に、中台関係悪化も一因

 台湾の警察と行政院海岸巡防署(海巡署)が今月14日、澎湖沖合を航行していた中国籍の漁船に対し立ち入り調査を行ったところ、船内から覚醒剤の原料となるエフェドリン506キログラムが見つかった。捜査関係者によると、同海域では今年、麻薬密輸業者が少なくとも3回検挙されており、台湾海峡が中台間の麻薬密輸の中継地となっている実態が浮かび上がった。

 今回押収されたエフェドリンは覚醒剤200万回分の使用量に相当し、末端価格は5億台湾元(約19億円)に上るという。これら中国から持ち込まれた原料は、台湾で覚醒剤に精製された後、各地で販売されるほか、さらに他国へも密輸されているとみられ、警察は密輸グループの実態解明に向けて引き続き捜査を進めている。

 ちなみに覚醒剤の一種、アンフェタミンの台湾域内における末端価格は1キログラム当たり100万元余りとされるが、日本やニュージーランド、オーストラリアなどではその10~20倍以上の価格で売れることから、台湾で精製された覚醒剤の大半がこうした国々へ流れている可能性が高いという。

 なお漁船を使った麻薬の密輸について捜査関係者は「海上は偶発的要素が大きいため検挙が難しく、麻薬を積んでいると分かっていても取り逃がすこともある」と指摘。今回、大量のエフェドリンが押収されたことに対し、「これまで何度も密輸に成功し、安全が確認されたことから量を増やした可能性がある」との見方を示した。

 捜査関係者はさらに、台湾の政権交代に伴う中台関係の悪化が犯罪捜査面での協力にも影響を及ぼしており、麻薬密輸グループの連携をより緊密にさせていると指摘した。

 中台関係が良好だった馬英九政権時代は、双方の麻薬捜査機関が相互に視察し合ったり、情報交換を行ったりと活発な交流があったが、蔡英文政権への交代後は台湾側が捜査協力を依頼しても、中国側に重大な危険が及ぶケースを除いて無視されるという。

 一説によると、日本の芸能界で近年相次いで発覚している麻薬事件で、タレントらが使用していた覚醒剤の大半が台湾経由で持ち込まれたものとされる。政治面での交流はともかく、犯罪の撲滅では中台が協力しても損はないと思うのだが。