ニュース 自動車・二輪車 作成日:2017年12月26日_記事番号:T00074694
ノートパソコン受託生産大手、緯創資通(ウィストロン)の林憲銘董事長は25日、中国の電気自動車(EV)大手、上海蔚来汽車(NIO、ニーオ)に電子制御機器を独占的に供給すると明かした。NIOは中国版テスラと呼ばれる注目企業で、車載用部品は粗利益率が30~50%と高い上、同社のサプライチェーン加入によって業界他社からの受注獲得も期待できる。ウィストロンは2020年段階で、EVなど産業向けの売上高構成比10%以上の実現を目指している。26日付経済日報などが報じた。
NIOの「ES8」は、わずか3分でバッテリー交換できるという(同社リリースより)
NIOは2014年設立で、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)、セコイア・キャピタルなどが出資している。12月16日に北京で同社初の量産SUV(スポーツ用多目的車)「ES8」を発売した。同車種は44万8,000人民元(約770万円)からとテスラの「モデルX」の約半額で、初年度出荷台数は8万~10万台と予想されている。
ウィストロンは、電子制御機器を生産する華東工場がNIOから認定を受け、来年大量出荷を開始する予定だ。台湾EMS(電子機器受託生産サービス)としては、鴻海精密工業に続く2社目の電動車参入となる。
年2~3車種発売
林董事長は、電動車は遅かれ早かれガソリン車に取って代わる見通しで、特に中国は政府の後押しで電動車産業が急速に発展しているため、まず中国市場に参入すると説明した。
電動車にとって最もコストがかかるのはバッテリーで、次が制御機器だと指摘。制御機器には電子部品、モジュールが含まれ、ウィストロンの得意分野である上、粗利益率もノートPC受託生産(5%未満)より高いと語った。
また、ウィストロンはNIO向けに制御機器を供給するだけでなく、クラウドサービスの設計も支援すると明かした。NIOは1年に新車2~3車種を発売するが、販売期間は数年にわたると話した。
医療・IoTも強化
ウィストロンは主にノートPC、サーバー、スマートフォンの受託生産を行っているが、以前より電動車に目を付けていた。14年にカーエレクトロニクスの宗盈国際科技(ジョインリンク・インターナショナル・テクノロジー)の株式51~60%を6億台湾元(約22億7,000万円)で取得した(現在の出資比率は41%)ほか、昨年末にはEVファンドに1,500万米ドルを投じると発表している。
林董事長は、台湾のODM(相手先ブランドによる設計・生産)産業は世界で最も強力なサプライチェーンだと指摘。ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)を見倣い、EVのほか、医療、IoT(モノのインターネット)ソリューションを合わせた20年売上高構成比を10%に拡大すると表明した。
林董事長はまた、スマートフォン産業はPC産業より大きく、収益も悪くないが、製造工程が複雑なため、中国ODMメーカーを脅威に感じていないと語った。スマホではインド市場を強化する考えで、同社は新参者のため、最も有利な方向を選ぶと説明した。
ウィストロンの1~11月連結売上高は前年同期比27.7%増の7,531億4,300万元で過去最高だった。アップルのiPhone受注で、第1~3四半期の1株当たり純利益(EPS)は0.87元と昨年同期の0.59元を上回った。
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