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台湾企業集まる昆山、操業停止リスクに懸念広がる


ニュース 電子 作成日:2017年12月27日_記事番号:T00074726

台湾企業集まる昆山、操業停止リスクに懸念広がる

 中国・江蘇省昆山市政府は26日夜、環境汚染対策を目的とした企業に対する操業停止命令の見合わせを発表したが、実施されれば半導体用シリコンウエハー世界3位の環球晶円(グローバルウェーハズ、GWC)の生産に影響が出て、供給不足が深刻化するなどと、排水量が多い業界で懸念が広がっている。当初発表された対象270社のうち100社以上が台商(台湾系企業)で、操業停止命令は遅かれ早かれ実施されるとの見方から、環境対策の強化、別拠点での生産支援や移転などの対応を迫られている。27日付経済日報などが報じた。

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 昆山市政府は24日、呉淞江(河川)の水質汚染が深刻だとして、流域にある全270社に対し、25日から来年1月10日までの操業停止を命じたが、反発が強く、26日夜に急きょ見合わせを発表した。業界では「まだ実施していない」だけで、「今後も実施しない」とは限らないとの警戒感が強まっている。

 グローバルウェーハズの親会社、中美矽晶製品(シノアメリカン・シリコン・プロダクツ、SAS)は、昆山での生産に影響は出ていないが、汚染物質の排出基準を引き上げて、当局の規制の影響が出ないようにしたいと説明した。

 シリコンウエハーは、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)などにとって欠かせない材料だ。需要は増えているが、メーカーが増産に慎重で供給不足が続いているため、来年は20~40%の価格上昇が見込まれている。業界では、中国の環境保護法規の厳格化が進む中、顧客が代替の調達先を求めて、半導体用シリコンウエハーメーカーの合晶科技(ウエハーワークス)などの受注が増えるとみられている。

チップ抵抗器メーカー、移転検討

 昆山に進出しているチップ抵抗器メーカーはサムスン電機のほか、台商は▽世界4位の厚声電子工業▽奇力新電子傘下の旺詮(ラレック・エレクトロニック)▽冠宝科技(元・麗智精密電子)──。ラレックは受注の選別を始めた他、昆山工場の前工程の電気めっき工程の50%をマレーシアに移転済みで、残り50%も湖南省に移転する可能性がある。

 昆山に工場があるプリント基板(PCB)メーカーは台郡科技(フレキシウム・インターコネクト)、嘉聯益科技(キャリア・テクノロジー)など。昆山リスクを軽減するため、中国中西部に投資する動きが出ている。

 このほか、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)の呉嘉昭董事長は、もし当局から操業が制限されれば、排水量の多い工場で減産して対応すると述べた。

 食品大手、統一企業(ユニプレジデント)は昆山で即席麺や飲料を作っており、26日午前に排水量を50%削減した。今後、操業停止命令が出れば、周辺の安徽省合肥市、江蘇省徐州市、泰州市で生産を支援すると説明した。

 自転車最大手の巨大機械工業(ジャイアント・マニュファクチャリング)は、昆山に工場が4基あり、うち呉淞江流域の工場2基で25日から来年1月10日まで稼働時間を減らす他、用水量50%削減、汚水の排水ゼロなどを約束すると表明した。

株価100ポイント下落

 昆山に進出している台商は、ほかに▽EMS(電子機器受託生産サービス)最大手の鴻海精密工業▽半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光半導体製造(ASE)▽産業用コンピューター最大手の研華科技(アドバンテック)──など。

 昆山リスクが嫌気され、台湾株式市場の同日の加権指数は一挙に100ポイント下落し、時価総額350億台湾元(約1,300億円)が吹っ飛んだ。

【表】