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4年ぶり台湾元高、今年28元台突入も


ニュース 金融 作成日:2018年1月3日_記事番号:T00074792

4年ぶり台湾元高、今年28元台突入も

 2018年の取引開始日、2日の台湾元相場は前営業日比0.22元高の1米ドル=29.628元を付け、過去4年の最高値を更新した。上昇幅は0.74%で過去8カ月半で最大、20元台は10営業日連続となった。為替差損を回避するため、機械業界は製品の値上げ、紡織業界は米ドル建ての売掛金抑制を進めている。産業界は、今年は30元台に下落しない状況が続くと予想しており、1米ドル=28元台に突入する可能性も指摘された。3日付工商時報などが報じた。

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 台北為替市場は昨年の最終取引日だった12月29日、1米ドル=29.848元で引け、昨年通年の上昇幅は8.14%と、1989年の為替自由化以降の28年で最大だった。きょう3日は正午時点で、同29.594元とさらに元高が進んだ。

 為替ディーラーは、米国のドル安政策を受け、外国人投資家が昨年最後の2営業日で3億6,400万米ドル、今年1月2日に3億~4億米ドルをつぎ込んで台湾元買いを行った他、輸出企業が代金で得た米ドルを台湾元に両替したことが元高進行の主因と分析した。

 中央銀行(中銀)によると、2日の対米ドル上昇幅は、韓国ウォンの0.88%に台湾元の0.74%が続き、他は▽ユーロ、0.74%▽豪ドル、0.54%▽タイバーツ、0.49%▽英ポンド、0.48%▽シンガポールドル、0.46%▽インドネシアルピア、0.18%▽人民元、0.16%▽日本円、0.02%──だった。

 台湾元は対日本円でも大幅上昇となり、為替ディーラーによると、春節(旧正月、2018年は2月16日)連休を前に、日本旅行を計画している人の日本円買いが多かったという。

 台湾銀行の現金売り相場は1円=0.2656元と、昨年9月より5%元高だ。日本旅行から帰ったばかりの市民は、5万元の両替で昨秋より1万円多く受け取れるので、家電を購入したり、ラーメンや牛丼がたくさん食べられたと話した。

製品の値上げ相次ぐ

 為替ディーラーは、米ドル上昇の兆しがないので、外国人投資家の台湾元買いが続けば、次は1米ドル=29.5元の攻防戦になると予測した。中華採購供応管理協会(SMIT)採購供応研究中心の頼樹鑫執行長(CEO)は、今年は30元割れが続く見通しで、1米ドル=28元台もあり得、メーカーは既に心理的な準備をしていると指摘した。

 台湾元高と、材料価格上昇、部品価格上昇を受け、工作機械大手、台中精機廠(ビクター台中・マシナリー・ワークス)の黄明和董事長は、第2四半期に5%値上げすると表明した。程泰機械(グッドウェイ・マシン)は昨年末、今年出荷するCNC(コンピューター数値制御)装置の価格を5%以上値上げすると通知した。亜崴機電(AWEA)は、大型の門型加工機やC型機を5%以上値上げする。

 昨年は工作機械の材料の鉄鋼価格が5~10%上昇しており、今年リニアガイドやボールねじなど受動部品は8%以上値上がりし、制御装置は3~5%値上がりするもようだ。工作機械用の鋳物メーカーは今年第1四半期の5~10%値上げを通知した。これらにより生産コストは5~8%上昇する。

 一方、紡織業界では、アパレル大手の儒鴻企業(エクラット・テキスタイル)が今年は米ドル建ての売掛金を抑制する方針を決めた。エクラットは昨年第1四半期の為替差損が4億5,500万元、昨年第1~3四半期では4億4,400万元に上った。

 力麗集団(Lealeaグループ)傘下の繊維メーカー、力鵬企業は昨年第1~3四半期の為替差損が4億5,400万元、力麗企業は2億1,900万元に上った。力鵬企業の郭紹儀董事長は、売掛金のうち米ドル建てが1億米ドル以上に上り、大打撃を受けたと説明した。

 繊維メーカー、新光合成繊維(新繊)は、昨年第1~3四半期の為替差損が2億6,600万元に上った。新繊は、今年は昨年ほど台湾元高が進まないと予想しているが、米ドル建てを減らして為替ヘッジすると説明した。

【表】