ニュース 電子 作成日:2018年1月4日_記事番号:T00074815
受動部品最大手、国巨(ヤゲオ)傘下のインダクター大手、奇力新電子(CHILISINエレクトロニクス)は3日、同業の美磊科技(マグレイヤーズ・サイエンティフィック・テクニクス)を株式交換を通じて買収し、完全子会社化すると発表した。買収額は68億9,000万台湾元(約260億円)相当で、効力発生日は7月1日の予定。台湾インダクター業界で約10年ぶりのM&A(合併・買収)で、アップル、テスラなどの受注を手中に収め、2020年までに世界3位を目指す。4日付経済日報などが報じた。
奇力新は「強者同士のM&A」と期待感を示した(3日=中央社)
奇力新のインダクター世界市場シェアは7.01%で、マグレイヤーズはシェア4%。買収後のシェアは11%となり、上位3位のTDK、村田製作所、太陽誘電との差を縮める。
株式交換比率は、マグレイヤーズ1株に対し、奇力新が発行する新株0.73株を割り当てる。プレミアムは16%程度。奇力新の2日終値は101元だった。
奇力新の資本金は22億8,600万元、マグレイヤーズは9億3,500万元。鐘世英・奇力新総経理は、マグレイヤーズ買収後、減資も視野にあると話した。
一体成型構造で世界首位に
奇力新の一体成型構造インダクターの月産能力は5億5,000万個、マグレイヤーズは2億5,000万個。合計で8億個近く、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)傘下の乾坤を上回り、世界最大規模となる。
奇力新は、携帯電話やウエアラブル端末向けなど小型の一体成型構造インダクターに強みを持つ。一方、マグレイヤーズは売上高の6~7割を一体成型構造インダクターが占め、ネットワーク機器大手のシスコシステムズから受注しているほか、電気自動車(EV)大手のテスラ、半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)、GPU(グラフィックスプロセッサー)大手のエヌビディアなども長年の顧客だ。買収により、ハイエンドのサーバー、スイッチ、車載用パワーインダクターなど、奇力新の弱い分野を補強できる。
両社はこうした相互補完のほか、台湾メーカー同士の争いを回避でき、規模拡大によって調達の交渉力も高まる。年間売上高は合計170億~180億元。マグレイヤーズは上場を廃止するが、社名とブランド名は残す。
チップ抵抗器、15%値上げ
奇力新傘下のチップ抵抗器の旺詮(ラレック・エレクトロニック)は3日、代理店に対し、15%の値上げを通知した。
鐘・奇力新総経理は、車載用や携帯電話用需要の大幅増でチップ抵抗器は供給がひっ迫しており、インクや包装材料などの価格上昇に加え、中国・昆山市政府(江蘇省)の環境汚染対策を目的とした規制によるコスト上昇を考慮し、値上げを決めたと説明した。
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