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労働検査3月から、労基法再改正


ニュース その他分野 作成日:2018年1月11日_記事番号:T00074941

労働検査3月から、労基法再改正

 労働基準法(労基法)再改正案が立法院で最終可決されたことを受け、林美珠労働部長は10日、3月1日施行と同時に、労働検査(立入検査)を実施すると表明した。今回の労基法改正で、産業界が待ち望んでいた12日連続勤務や時間外労働時間の引き上げが実質可能になるが、労使合意が条件の一つだ。現在、労使会議を開催している企業は大企業を中心に7万社にすぎず、今後は労使会議を行っていない企業が労働検査のターゲットになりそうだ。11日付経済日報などが報じた。

/date/2018/01/11/00top_2.jpg林労働部長は、3月1日までに施行細則を発表し、「七休一」の緩和や、シフト勤務の間隔8時間を適用できる業種を公表すると述べた(10日=中央社)

 林労働部長は、法改正による▽休日出勤を認めない例仮(法定休日)を7日間に1日設定する「七休一」を緩和し、14日間に例仮と休息日(所定休日)を少なくとも4日付与する「十四休四」に▽シフト勤務の間隔を連続11時間から8時間に縮小▽時間外労働時間の上限を46時間から54時間に引き上げ、3カ月で上限138時間とする──はあくまで労働部の公告後に有効となり、労働組合や労使会議での合意が必要で、30人以上の事業所は主管機関に報告しなければならないと説明した。

 林労働部長は、労働検査は主に公営企業、交通運輸、医療機関などシフト勤務を採用している業種を優先して実施すると説明した。鄒子廉・労働部職安署長は、労使合意などの法規を守っているかについては、あらゆる業種を対象に労働検査を実施し、違反には2万~100万台湾元(約7万5,000~380万円)の処罰を科すと補足説明した。

 労働部は、労基法改正で労働者の権益である▽週休2日制▽労働時間の原則▽時間外労働時間の上限▽時間外労働手当の割増率──は変わらないと強調した。

 中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、シフト勤務の柔軟性が高まり、残業したい労働者は残業できるようになったので、改正労基法に満足はしていないものの、受け入れられる範囲だとコメントした。

「週休2日制は骨抜きに」

 改正労基法では、労働者が望む場合、雇用主の同意を得れば、時間外労働時間を代休に充てることができる第32条が追加された。ただし、年度内に代休を取得させられなければ、時間外労働手当を支給しなければならない。

 林労働部長は、時間外労働に対しては時間外労働手当の支給が原則で、代休に充てる場合は時間外労働時間数以上を付与することと説明した。

 労働団体の台湾高等教育産業公会(高教公会、THEユニオン)の陳柏謙研究員は、代休への振替で、企業は時間外労働の割増賃金の支給が不要になったに等しいと指摘。一例一休は当初、所定休日の時間外労働手当の割増率を引き上げることで、労働者の労働時間を減らす狙いがあったはずが、これで週休2日制は骨抜きになったと批判した。

 中国文化大学法律系の邱駿彦教授も、労働者個人には労使交渉など実質不可能だと問題点を指摘した。

蔡総統、再改正を謝罪

 蔡英文総統は、短期間で2回も法改正したことで社会に不安を与えたと謝罪を表明した。台湾産業の構造は大きく変化しており、政府は時勢に応じて法規を見直し、国家の発展を維持する責任があると語った。

 11日付中国時報は、昨年12月の労基法改正以来、労使が疲弊し、政府への信頼が崩れたと指摘。産業界や労働者を翻弄した問題は、15年末の国民党案で解決できることばかりで、台湾経済は2年余りを無駄にしたと批判した。

 旺旺中時民調中心が1月6日に実施した世論調査では、蔡総統の施政に対する満足度が26%と過去最低、不満足度が59.9%と過去最も高くなった。16年5月の就任当初は満足度52.5%、不満足度5.9%だったが、就任100日目でほぼクロス、1周年以降は不満足度が上回り、昨年9月の頼清徳行政院長就任で満足度28.9%、不満足度50.1%と若干盛り返したが、再び悪化した。