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異常気象がレンブ生産に打撃、作付面積が10年で3割減少


ニュース 社会 作成日:2018年1月16日_記事番号:T00075042

異常気象がレンブ生産に打撃、作付面積が10年で3割減少

 レンブは台湾で「フルーツの王様」と呼ばれ、かつては贈答品として高い人気を誇ったが、近年では寒波や台風の相次ぐ襲来など、異常気象によって深刻な打撃を受けている。気候の変動に応じてコストが上昇していることなどから生産をやめる農家も多く、10年前には台湾全土5,800ヘクタールに広がっていたレンブ畑は現在、3,800ヘクタールまで縮小した。

 台湾におけるレンブ栽培はピーク時には作付面積が8,000ヘクタールを超え、そのうち屏東県が85%を占めた。同県のレンブ農家、王瑞雄さんによると、かつてレンブはフルーツの贈答品としては最高級品の地位にあり、春節(旧正月)のプレゼント用として企業の董事長が畑まで直接買い付けにやって来ることもあったそうだ。

 ただ屏東県佳冬郷で20年以上、レンブの栽培を続けてきた蔡天和さんによると、レンブは雨風や気温の低下に弱く、手が掛かるほか、開花させてから収穫までの期間が5~6カ月と長いそうで、それだけ気候の変動による影響を受けやすいという。

 2009年8月に台湾南部を台風8号(アジア名・モーラコット、通称・88水災)が襲って以降、台湾では異常気象が続いており、16年1月に大寒波が台湾全土を襲った際には屏東でも気温が5度まで低下し、レンブがほぼ全滅した。

 こうした中、蔡さん自身も「もう疲れて気力がなくなった」と話すように、バナナやレモンの栽培に切り替えたり、畑を太陽光発電施設に転換する農家が相次ぎ、屏東県のレンブ畑は急激に減少。現在の作付面積は2,800ヘクタールと全盛期の半分以下にまで落ち込んでいる。

 異常気象によるレンブ栽培への深刻な影響について行政院農業委員会(農委会)農糧署は、気候が変化しているため、従来通りの方法を続けるのではなく、収穫時期を調節するなど発想を変えて対策に取り組む必要があると指摘している。

 高雄市で寒さに強い品種の開発も始まるなど、危機に立ち向かおうとする農家も出てきている。実際、同市では作付面積が10年前に比べ27%減少したものの、生産量は同期間に38%増加しており、顕著な成果を挙げている。

 なお今月10日前後に全土が厳しい冷え込みに見舞われた際、屏東県でも夜間に気温が8度まで低下。レンブ農家は皆、眠れぬ夜を過ごしたそうだが、自然との戦いは今後も続いていくことだろう。