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中国スマホ5位が資金難、台湾サプライヤー緊張


ニュース 電子 作成日:2018年1月17日_記事番号:T00075048

中国スマホ5位が資金難、台湾サプライヤー緊張

 スマートフォン中国5位の深圳市金立通信設備(Gionee、ジオニー)が、資金難に陥ったことが明らかになった。中国スマホ市場は成熟期に入っており、淘汰(とうた)が進む可能性もある。中国スマホブランドと取引がある▽IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)▽デジタルカメラ用レンズ世界最大手、大立光電(ラーガン・プレシジョン)▽中小型液晶パネルメーカー、瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)──など、台湾のサプライチェーンは警戒を強めている。17日付経済日報などが報じた。

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 広東省東莞市の東莞市第一人民法院(裁判所)は16日、ジオニーの劉立栄董事長が保有する41.4%の株式に対し、2年間の保全命令を出した。インターネット上では、今月5日に予定されていた給与の遅配や未払いのうわさが出た。ただ、ジオニー従業員を自称するユーザーは、正常に支給されていると否定した。

 同日、ジオニーにタッチパネルを供給している欧菲科技(Oフィルムテック)の株価は終値は4%下落した。もしジオニー、さらにもう1社が生産停止に追い込まれれば、2社で年間出荷台数5,000万台超、スマホ1台当たりの部材コストを100米ドルで計算して、業界の部品調達や売掛金の損害は数千億台湾元(1元=約3.74円)に上る恐れがある。

半導体商社、「6カ月前に異変」

 ジオニーのスマホの多くは、メディアテックのプラットフォームを採用している。メディアテックは、特定の顧客の状況については触れないが、メディアテックの財務に大きな影響は出ないとコメントした。

 このほか半導体業界でジオニーと取引があるのは、液晶パネルドライバICの聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)、敦泰電子(フォーカルテック・システムズ)、商社の大聯大投資控股(WPGホールディングス)、文曄科技(WTマイクロエレクトロニクス)などだ。

 半導体商社関係者は、6カ月前にジオニーの在庫や発注状況に異変を感じていたと明かした。昨年は中国スマホブランドの販売が例年ほど振るわず、ジオニーとの取引も徐々に減っており、現在はほとんど出荷していないと語った。

 IC設計会社は、全て商社経由の取引で、商社との間の取引代金の授受状況は正常だと説明した。

ハンスター、中国顧客が9割

 ジオニーは、ラーガン、華晶科技(アルテック)、今国光学工業(キンコ・オプティカル)などとも取引があるが、大部分がモジュールメーカーや代理店経由のため、影響は限定的と予想される。

 ハンスターや中華映管(CPT)も、モジュールメーカーや代理店経由で納入しているので、影響はないとコメントした。ハンスターは、パネル製品の90%以上を中国ブランドに販売しているが、いずれも台湾、中国、香港など代理店経由で、出荷後すぐに現金を受け取る方式だと説明した。

全画面スマホで出遅れ

 ジオニーは2002年9月設立。主に自社で研究開発(R&D)、生産加工を行い、海外40以上の国・地域に輸出している。

 昨年のスマホ出荷台数は3,000万台で前年比1,000万台減少した。16年は4,000万台で、中国4位の小米科技(小米、シャオミ)に200万台差に迫ったため、17年は3位入りが予想されていたが、下半期にオールスクリーン(狭額縁設計のインフィニティディスプレイ)機種の導入が出遅れ、販売が伸びず、現金が不足し、取引先への代金支払いが滞ったようだ。

 業界関係者は、中国の通信キャリア大手3社が販売奨励金(スマホ端末購入補助)を減らしたことで、これまで販売奨励金に頼っていた楽視網信息技術(Letv)やジオニーが打撃を受けた一方、自社ショップが多い広東欧珀移動通信(OPPO)や維沃移動通信(vivo)が伸びていると分析した。なお、市場調査会社IDCの調査によると、中国ブランド首位は華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)で、サムスン電子、アップルに続く世界3位だ。

 楽視は2016年に資金繰りの悪化が明るみに出て、受託生産大手の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)などが売掛金を回収できず、巨額の損失処理を強いられた。

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