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作成日:2008年5月19日_記事番号:T00007506
中国での治療はリスク、中医学界が警告
台北市立聯合医院が18日に開催した「2008年海峡両岸中医薬シンポジウム」で、中医学(中国伝統医学)の医師らが、中国への治療渡航に警告を発した。
中医診療所の卓資彬主任医師によると、ある50代の肺がん患者はかなり安定した病状だったが、「中医学と西洋医学とを結合させた中国のがん治療が大変効果がある」と聞き、数十万台湾元(1元=約3.4円)を使って中国へ治療に。現地で2週間毎日点滴を打つ治療を受け台湾に戻ったところ、1週間後急に病状が悪化し死亡したという。
中華民国中西結合神経医学会の李政育名誉理事長は、中国では中医学と西洋医学を結合させ、漢方薬の成分の注射薬やカプセルを開発しているが、問題も多いと指摘する。例えば「龍胆瀉肝湯」という注射薬では腎臓機能不全を招いたケースもある。龍胆の成分は炎症の治療に即効性があるが、毒性があり長期に服用してはならないからだ。台湾ではずっと以前に使用を禁じられた漢方薬が、中国ではまだ臨床で使われている例も多い。
有名人のがん治療に成功した上海のある名医が台湾人に大変な人気だが、李名誉理事長によれば、その名医の処方は大部分が脾臓(ひぞう)や胃を補い、血液を活性化させ免疫力を高める漢方薬を投与するというもので、初期のがんにしか効果がないものだったという。
このように中国の医療レベルは玉石混交といえ、リスクを負ってまで治療に行く必要はないようだ。逆に、台湾は高い医療レベルを求める中国人向けのビジネスチャンスを開拓すべきだろう。