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TSMC今年1兆元企業へ、仮想通貨用ICが急増


ニュース 電子 作成日:2018年1月19日_記事番号:T00075101

TSMC今年1兆元企業へ、仮想通貨用ICが急増

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長は18日の業績説明会で、今年は仮想通貨関連のASIC(特定用途向けIC)や、ディープラーニング(深層学習)、高速演算のGPU(グラフィックスプロセッサー)の成長が力強く、米ドル建て売上高は10~15%成長すると予測を示した。台湾元ベースでは連結売上高1兆元(約3兆7,800億円)を突破する見通しだ。19日付工商時報などが報じた。

/date/2018/01/19/00tsmc_2.jpg張董事長が壇上で語る業績説明会は今回が最後だった。TSMCに30年余り貢献し、刺激的で楽しい人生だったなどと振り返り、会場は長い拍手に包まれた(18日=中央社)

 TSMCが18日発表した2017年連結売上高は前年比3.1%増の9,774億4,700万元、純利益は2.7%増の3,431億1,100万元でいずれも過去最高を更新した。

 張董事長は、高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)、IoT(モノのインターネット)、カーエレクトロニクス関連チップの需要が強いと語り、今年の半導体市場は前年比6~8%成長、うちメモリーは5~7%成長、ファウンドリーは9~10%の成長を予測した。

 張董事長は、TSMCの7ナノメートル製造プロセスは第2四半期に出荷を開始、年内のテープアウト(設計完了)は50件に上り、当面の市場シェアは100%で、通年売上高の10%を占めるとの見通しを示した。

 今年通年の設備投資計画は105億~110億米ドルと発表した。前年は108億米ドルだった。

ビットマインから受注か

 仮想通貨ビットコインの人気が続く中、TSMCは、仮想通貨関連のチップ受注が急増し、重要な顧客になっていると指摘した。同社は前回の業績説明会で、仮想通貨関連の四半期売上高は3億4,000万~3億5,000万米ドルと明かしていたが、その後、HPC関連チップに占める仮想通貨関連の売上高構成比を公開しないことを決めた。変動が激しい仮想通貨に注目が集まり過ぎないようにするためだ。

 TSMCによると、昨年のHPC関連チップ売上高は全体の20%、今年は25%を占める見通しだ。証券会社は、TSMCの今年のHPCチップ売上高は前年比37.5~43.75%増加し、特に中国からの受注が最大となると予測した。

 TSMCは今年、ビットコイン採掘(マイニング)向けICチップで世界市場シェア8割を占める中国の北京比特大陸科技(ビットマイン)からの受注がウエハー10万枚に上るもようだ。ビットマインは、採用する製造プロセスを従来の16ナノメートルから12ナノに変更し、7ナノプロセスも検討している。中国顧客は昨年売上高に占める割合が11%と前年の9%から拡大しており、今年も大幅成長が見込まれる。

スマホチップ出荷減へ

 TSMCの昨年第4四半期の連結売上高は前期比10.1%増、前年同期比5.9%増の2,775億7,000万元で過去最高、粗利益率は50%で前期比0.1ポイント上昇、前年同期比2.3ポイント低下、純利益は前期比10.4%増、前年同期比0.9%減の992億8,600万元で過去2番目の高水準だった。張董事長引退後の次期董事長、劉徳音(マーク・リュウ)共同執行長(CEO)は、スマホ新機種や仮想通貨関連のASICの需要が強かったと説明した。

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 一方、今年第1四半期の連結売上高予測は84億~85億米ドルで、前期比8.39~9.68%減に相当する。TSMCは、第1四半期の減収はモバイル端末の季節変動が主因で、今年通年でもモバイル端末関連チップの出荷は減少するが、スマホチップの価値は高まるので、モバイル端末関連の売上高自体は横ばいと見込んでいる。業界関係者によると、昨年のスマホ出荷は13億6,000万台で前年比4.7%増と成長幅が縮小しており、今年は初の前年割れが予想されている。

【表】