中国の銀行が発行するキャッシュカード「銀聯カード」の台湾での利用開放を、行政院金融監督管理委員会(金管会)が検討している。馬英九新政権で実施される中国人観光客の来台開放に伴うもので、人民元の両替額の上限規制を補い、台湾での消費拡大の促進を狙う。19日付経済日報が報じた。
三井住友カードの発行による提携銀聯カード(同社提供)
発行枚数15億枚
銀聯カードは、中国政府主導で2002年3月に設立された銀行間ネットワーク決済サービス会社「中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)」が認定したキャッシュカードで、昨年末の段階で中国の金融機関を中心に169社が参加し、発行枚数は15億枚に達している。中国は以前、個人の信用データが不十分だったため、銀聯カードは大部分がデビッドカード機能のみで、クレジットカード機能はない。しかし、最近はクレジットカード機能付きのカードが増えてきているという。
ACニールセンの調査によると、中国人の銀聯ブランドに対する認知度は89%に上っており、VISAやMaster Card、JCB、アメリカン・エキスプレスなど海外大手ブランドカードを大きく上回っている。これは、中国の銀行がこれらのカードを発行していないこと、および中国国内での銀聯カードを使用できる商店やレストラン、ホテルなどは計74万店以上(07年末時点)と、海外大手カードの利用可能な店舗数を大きく上回っているためだ。
銀聯カードを利用できる国・地域も拡大しており、現在、香港・マカオ、韓国、タイ、シンガポール、日本、米国、ドイツなど27カ国でカードでの買物やキャッシングサービスを受けられる。
日本でも昨年12月、中国への旅行者や長期滞在者の需要を見込んで、三井住友カードが業界初となる銀聯カードとの提携カードの発行を開始した。
決済が最大の課題
金管会の幹部によると、中台間では決済協定が結ばれておらず、台湾での銀聯カード利用開放に当たっては決済が最大の課題となる。初期段階の案として、通貨は米ドルを採用し、中国銀聯の香港拠点に決算を担当させるアイデアを検討している。
中国人観光客の開放に伴い検討されている台湾での人民元両替開放も、原案では持ち込み・持ち出しの上限額は2万人民元(約30万円)以下となっている。人民元は偽札問題が懸念されることからも、観光業界から銀聯カードの台湾での利用開放を求める声が上がっていた。