ニュース 社会 作成日:2018年2月13日_記事番号:T00075562
台中市の中心部、中区を流れる河川「緑川」はかつて、都市の発展に伴って周辺から集まる生活排水による汚染が進み、その悪臭のせいで付近の商店が相次いで移転するほど汚れた川として知られた。しかし、同市政府が3年の年月と8億5,000万台湾元(約31億円)の費用をかけて水質の改善と周辺環境の整備を進め、このほど悪臭のない美しい川に生まれ変わり、河岸歩道が一般市民に開放された。
河岸歩道の一般開放初日には頼清徳行政院長(右4)、林佳龍台中市長(右3)らが視察したほか、たくさんの市民でにぎわった(台中市政府リリースより)
緑川はかつて清の時代、中国大陸から移住してきた人々が周辺に住み着き、現在の台中市の発祥の地となったと伝えられており、当時は「無名渓」や「新盛渓」などと呼ばれていたそうだ。その後、日本統治時代に治水工事が行われたほか、橋の改築も進められ、1912年に同地を視察に訪れた佐久間左馬太・台湾総督が、河岸の美しい緑が川面に映し出された光景から「緑川」に改名し、現在に至る。
なお当時、緑川の川辺では画家がスケッチを行ったり、恋人たちが愛を語り合ったりしたそうで、さぞロマンチックな風景が広がるスポットだったと想像される。
しかし経済発展に伴い人口が増え、大量の生活排水がこの川に流れ込むようになると、水質は急激に悪化。異臭を放つようになり、誰も近づきたがらない「ドブ川」となってしまった。
そんな緑川のかつての美しい姿を取り戻そうと台中市政府は16年より、改善工事に着手。川上の住宅や商圏から出る排水をいったん、浄化した後に緑川に流し込むようにしたほか、河岸には610メートルに及ぶ遊歩道を設置した。
そして3年をかけて進められた一連の工事がこのほど完了し、11日に遊歩道の供用開始式典が開かれた。
新しく生まれ変わった緑川には川床が見えるほど澄んだ水が流れ、もう汚水のいやな匂いが漂ってくることはない。また110年前の日本時代に架けられ、かつて「新盛橋」と呼ばれた「中山緑橋」もそのまま残され、情緒あふれる風情を醸し出している。
このほか改善工事の過程で、緑川を跨ぐ台湾大道の下からこちらも日本時代に設置された「桜橋」が発見された。調査によるとこの橋には、現在のように竹の節状の紋様が付いていない鉄筋が使用されており、「原始の鉄筋建築」と言えるため、市民がその姿を鑑賞できるよう台湾大道の下にも遊歩道が設置された。
なお緑川では4月8日まで、川の上に吊り下げられたクラゲをイメージしたアート作品が夜になると青く発光し、幻想的な雰囲気を作り出すなど光をテーマとしたイベント「緑川創意芸術光景展」が開催中だ。昼間は遊歩道を散策して日本時代の風情に思いをはせ、夜はロマンチックな光の芸術を楽しんでみてはいかがだろう。
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