ニュース 電子 作成日:2008年5月20日_記事番号:T00007560
馬英九氏の総統当選後、メディアの関心は中台関係、経済開放などの集中し、安全保障に言及するものはほとんどない。こうした状況の中に、李登輝政権下で黄埔軍官学校校長を、陳水扁政権の1期目で情報機関である国家安全会議の秘書長を務めた丁渝洲氏は、「国家の安全を疎かにした政策は相当なリスクを伴う」と、馬英九新政権に対し今後中国と対話を進める上に当たっての注意を促した。
丁氏は中台関係について、「中国と台湾の地理的位置は永遠に不変であり、統一、独立、現状維持のいずれの方向に進むにせよ、中国との良好な関係を築くことは台湾にとって不可欠」と指摘する。丁氏によると、今日の台湾は、外交、経済、軍事、非伝統的安全保障問題(テロ、不法移民、麻薬密輸、感染症など)などさまざまな脅威にさらされており、最も重大なのは中国からの脅威だとする。
国家目標の策定を
馬総統はこれまで、「三不政策(統一せず、独立せず、武力行使せず)」、「一中各表(一つの中国、それぞれの解釈)」を表明した上で、中国からの観光客開放、中国資本の台湾投資開放、中国の学歴承認、海と空の直航便就航の施策など、中台関係を現状維持の下で改善・発展させる方針を示している。丁氏も、「これらはすべて人民の最も関心の高い項目である」と認めている。
丁氏は馬総統に対し、「まず明確な国家目標、最も中核となる国家の利益を定める必要がある」と提言する。
馬氏の当選後の状況について丁氏は、「枝葉の戦術が先行し、全体的な戦略が見えてこない」と指摘した。そして、「台湾本島および澎湖、金門、馬祖の安全確保、中華民国の主権維持、2,300万人の利益重視が両岸関係発展の3原則」と語り、この原則を基に中国との協議を進めるべきと語る。なぜなら、「中国の行動にはすべて明確な目標があり、戦略性を持つ(丁氏)」ため、受け身の姿勢で臨めば、必ず中国側の戦略に取り込まれる危険性があるからだ。
国安会が重要な役割を担う
丁氏は、現在台湾が置かれた状況の下、国家戦略を推進する上で国安会が果たす役割は小さくないと考える。総統と行政院長の双首長制である台湾憲政では、行政院の各部署間の連携を図る上で国安会の役割はさらに重要なものとなるだろうと予想している。
現在情報機関に対するイメージは決してよくない。しかし丁氏は、新総統が情報機関の専門性を重んじ、憲法にのっとって活用するならば、政策決定に重要な情報を提供でき、国家の安全に大きく貢献できると強調している。
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