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《馬英九総統就任》大きく変わる対中関係、新政権の展望


ニュース 政治 作成日:2008年5月20日_記事番号:T00007564

《馬英九総統就任》大きく変わる対中関係、新政権の展望


 馬英九総統が就任演説で示した通り、新政権で大きく変化するのは対中関係だ。来週26日には呉伯雄国民党主席が、中国側の招きで台湾の与党党首として初めて訪中し、胡錦濤国家主席と会談する。中台対話の再開や経済交流などのテーマで大きな進展があるのか注目される。

 
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日本の祝賀訪問団からおいわいのだるまを受け取る馬英九総統(20日=中央社)

 馬政権は既に、▽直航の実現▽中国人観光客への来台開放▽人民元の台湾での両替開放▽中国企業の台湾進出▽中国資本による台湾不動産への投資開放▽中国資本による台湾公共事業への投資開放▽台湾企業の中国投資に対する規制の大幅緩和──などの政策を推進する方針を打ち出しており、中台の経済関係が大幅に拡大することは確実だ。

主権問題では摩擦も

 一方、台湾の主権に関する問題で、中国側がどのような対応をするのか興味深い。

 台湾が長年希望している世界保健機構(WHO)への参加は、正式加盟はおろかオブザーバーとしての参加ですら中国の反対で実現してこなかった。馬総統の就任前日の19日、ジュネーブで行われた世界保健総会(WHA)の総務委員会で、台湾は改めて総会へのオブザーバー参加を拒否されている。WHOは国連の専門機関であるため、中国のこれまでの論理では、台湾の加盟を認めれば「二つの中国」に道を開くことになる。この問題で馬総統の語る「中華民族の知恵」で妥協の道が探られるのか。なお、馬総統はオリンピックでなど用いる「中華台北」での加盟推進方針を表明している。

 また、台湾の外交関係を持つ国を中国に寝返らせる「外交戦争」が、今後も継続されるのかも一つの焦点だ。台湾と外交関係を持つ国は現在24カ国で、中南米や太平洋の小国が大部分だが、国際社会に台湾の声を伝える上で一定の役割を果たしているのは事実だ。中国が国際社会からの台湾の締め出しを続けるようであれば、馬政権とぎくしゃくした局面が生まれることも予想される。

物価が最初の課題に

 馬総統が直面する最初の内政課題は物価対策だ。民進党政権下で凍結されていたガソリン・電力価格を市場メカニズムに戻す必要性から、ガソリンは6月に、電力は7月の値上げが計画されていて、上げ幅はガソリンは1リットル当たり5台湾元(約17元)以上、電力は3割以上と大幅なものになると予想される。この値上げは通年の消費者物価上昇率(CPI)は1%以上押し上げられると言われており、消費者の生活圧力はさらに増す。社会的弱者に十分に配慮した対応策が求められている。