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馬英九総統就任、中台新時代を呼び掛け


ニュース 政治 作成日:2008年5月20日_記事番号:T00007565

馬英九総統就任、中台新時代を呼び掛け

 
 国民党の馬英九氏(57)が20日、中華民国第12期総統に正式に就任した。馬新総統は、午前11時から台北小巨蛋(台北アリーナ)で「人民の奮起、台湾の新生」と題する就任演説を行い、台湾2度目の政権交代実現を「民主化の歴史的なマイルストーン」とたたえるとともに、中台関係について「きょうから共同で平和共栄の新しい歴史のページを開く」という決意を語った。中国に対しては、特に国際社会における協調を呼び掛けており反応が注目される。
 

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聴衆の歓呼に応える馬英九総統(20日=中央社)
 
 就任演説に先立って、馬総統の就任式が午前9時から総統府で行われた。馬氏は王金平立法院長より総統の印章などを受け取った後、「憲法を遵守して職務に尽くし、人民の福祉を増進し国家を保衛し、人民の付託に背かない」という就任の宣誓を行った。 

 この後、陳水扁前総統の歓送が行われ、連戦国民党名誉主席ら就任式に列席した名士や総統府の職員らと握手をして、8年を過ごした総統府を後にした。

民進党時代は「民主化の陣痛」
 
 馬総統は就任演説で、陳水扁政権下での社会的混乱を「民主化発展の上での陣痛」と位置付けた上で、国民党が政権奪回に成功した理由について、「人民が政治の清潔さ、経済の開放、族群(エスニックグループ)の和合、両岸(中台)の平和、そして未来を選んだのだ」という解釈を表明した。

 また、民進党から国民党への今回2度目の政権交代を、「全世界の中華文化で唯一で、世界中の華人が厚い希望を寄せる政治的実験だ」と評価し、「全世界の華人の民主発展のために史上例のない貢献をしよう。それはわれわれの回避できない責任だ」と強調した。

国際社会での中台協調を期待
 
 注目の中台関係については、「統一せず、独立せず、武力行使が行われず」という理念と、中華民国憲法の枠組みの下で現状を維持する方針を示し、および「一つの中国、それぞれの解釈」の「1992年の共通認識」を基礎に、できる限り早く中台対話を再開すると語った。そして、経済・貿易と文化の交流を中台ダブルウインのスタート地点と位置付け、7月に予定する週末の直航チャーター便と中国人観光客の来台開放をもって新時代に入りたいと述べた。

 また、「台湾は安全と繁栄が必要で、それ以上に尊厳が必要だ」と指摘した上で、「台湾海峡のみならず、国際社会でも争いをやめ、国際組織や国際活動の中で互いに尊重して協力しよう」と中国に呼び掛けた。これについては、「両岸人民は共に中華民族に属する。中華民族の知恵の深さによって、台湾と大陸は必ず平和共栄の道を見つけられると深く信じている」と中国側の感情に訴えた。

 さらに、「両岸問題の最終的解決の鍵は主権の争いではなく、生活方式と核心的価値だ」と強調した。「われわれは大陸13億同胞の福祉に心からの関心を持つ。大陸が自由、民主、均富の大道を進み、両岸関係の長期的平和発展とダブルウインの歴史的条件を創造するよう期待する」と語った。

米国と関係拡大
 
 新政権の任務として馬総統は、「台湾の競争力向上」を筆頭に挙げた。「海島である台湾は閉鎖すれば衰亡し、開放すれば繁栄するのは歴史の鉄則」と述べた上で、次世代の人材育成の必要性に触れ、その際「さまざまなアイデンティティーによる教育への干渉を排除する」と語った。

 外交関係では、特に米国を「安全保障の盟友で貿易の協力パートナー」と挙げ、協力関係を拡大することを表明した。その上で「合理的な国防予算を組み、必要な防衛兵器を調達する」と、軍事面での台湾防衛の決意を示した。