ニュース 社会 作成日:2018年2月27日_記事番号:T00075714
新北市平渓区で元宵節(旧暦1月15日、2018年は3月2日)に行われる風物詩、願い事を書いた無数の天灯(ランタン)を熱気球のように火を灯して夜空に放つイベントは世界的にも知名度が高く、地元の有力な観光収入源となっている。しかし、同イベントに対しては、火災や交通事故の原因となる恐れがあること、周辺に大量の残骸が残されることなどから批判的な意見も根強い。こうした中、平渓の天灯販売業者は、イベントの存続に向けて、天灯による事故や災害が発生した場合のための基金を創設した。
平渓の天灯飛ばしは市政府が1999年の元宵節より「天灯フェスティバル」としてイベント化したことで注目され始め、さらに08年にディスカバリーチャンネルの「世界の祭りランキング」で第2位に選ばれたことで世界的に知名度が向上。世界中から観光客が集まるようになり、同地では元宵節以外でも観光客の体験イベントとして定着している。
市の統計によると、平渓区を訪れた観光客の数は07年の延べ60万人から12年に157万人、16年には641万人と10倍に増加し、地元の就業機会創出にも貢献している。
しかしこのイベントに対し環境保護団体からは、周辺の山林などに大量のごみを撒き散らすなどと強い批判の声が出ている。これに対し新北市観光局は、天灯の飛行時間は約8分、飛行距離は2キロメートル程度で、違法な飛ばし方をしなければ山林まで飛ぶことはないと指摘しているほか、天灯は全て天然の素材を使用しており、自然環境に大きな影響は及ぼさないと反論。関連業者は「周辺の自然は変わっていない。天灯イベントの印象を悪くしないでほしい」と不満をこぼしている。
ただ、それでもイメージの悪化を懸念する関連業者は、周辺の山林や河川の清掃活動を定期的に実施するなどの努力を続けているほか、万が一の事故に備えて基金を創設した。同基金は業者からの寄付で成り立ち、年間約60万台湾元(約220万円)がプールされる見通しだ。
さらに市政府と業者は、天灯の残骸を回収すれば1個に付き約8元を支給する報奨金制度を立ち上げ、ごみの削減に努めている。しかし環境団体は、飛ばされる天灯の数や回収量について明確な数値が示されていないと指摘。具体的な目標を設定するよう求める意見が出ている。
今後も観光収入と環境保護のバランスを追求する努力が続けられることになりそうだ。
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