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台湾旅行法可決、米台高官の相互訪問実現は微妙


ニュース 政治 作成日:2018年3月2日_記事番号:T00075750

台湾旅行法可決、米台高官の相互訪問実現は微妙

 米台高官の相互訪問を奨励する「台湾旅行法(Taiwan Travel Act)」が米国時間の2月28日、下院に続いて上院を全会一致で通過した。1979年の断交以降の米台関係に大きな転換をもたらす可能性を持つ法案だが、米国務省は「一つの中国政策の順守」を表明しており、現時点で高官の相互訪問が実現するかは微妙だ。2日付聯合報などが報じた。

/date/2018/03/02/00travelact_2.jpg頼清徳行政院長は台湾旅行法可決について、「同法によって米台間の実質的関係がさらに強まることを期待する」とコメントした(2日=中央社)

 台湾旅行法は、▽あらゆるレベルの米国官僚の台湾訪問を認める▽台湾のハイレベルの官僚の米国入国と、米国官僚との面会を認める──などを米国の政策とするよう議会としての認識(sense of Congress)を示したもの。トランプ大統領が拒否権を行使しない限り10日後(日曜日を除く)に発効するが、法的拘束力はない。

 米台間は断交以降、台湾は総統、副総統、行政院長、外交部長、国防部長は訪米しないこと、米国は台湾に派遣する政府関係者を政治色の低い環境やビジネス分野に制限してきた。台湾旅行法の成立はこの状況を打破して、米台高官の相互訪問に道を開くもので高い意義を持っている。

 ただ、国務省東アジア・太平洋局のマイケル・カベイ報道官は中央社の取材に対し、「米国の対台湾政策は変わらない。米中三つのコミュニケと台湾関係法の下、一つの中国政策を順守していく」と発言。引き続き「一つの中国政策」の枠組みを重視する考えを示した。

 これに先立ち、中国外交部の華春瑩報道官は、台湾旅行法は「一つの中国の原則」と三つのコミュニケに違反しているとして、米国に厳重抗議を行ったことを明らかにしていた。

台湾内部からも懸念

 台湾旅行法に対しては、共和党の親台湾派議員がトランプ大統領に強硬な対中姿勢を取るよう求めるために打ち出した「台湾カード」であるとして、台湾内部からも「手駒」として扱われることへの懸念の声も出ていた。「手駒」であれば駆け引きの材料に使われ、米中関係が改善した場合は切り捨てられる恐れがあるためだ。

 なお、台湾政府は蔡英文総統が同法案に賛成した全ての米国国会議員に対し、ツイッターで謝意を表明した他、外交部も同様に「高官の相互訪問を強化し、米台関係の深化を支持した」米議員に対し感謝の意を表明した。