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独自の地震予測で不安あおる、中央気象局が初の罰金処分


ニュース 社会 作成日:2018年3月6日_記事番号:T00075813

独自の地震予測で不安あおる、中央気象局が初の罰金処分

 日頃からフェイスブック(FB)上などで独自の地震予測を発表していた一般男性がこのほど、中央気象局から「違法に地震予測を行い、市民の不安をあおった」との理由で20万台湾元(約73万円)の罰金処分を受けていたことが明らかとなった。

 自らを「地震予測研究所所長」と称する林湧森氏はブログやFBを通じてほぼ毎日、台湾を中心とする地震予測情報を投稿しており、自身が開設した非公開グループ「地震預測研究所」は6万人近いメンバーを集めている。そんな彼は2月6日に花蓮地震が発生した後、「6日以内にマグニチュード(M)6.4以上の地震が発生する」との予測を投稿、花蓮市民を不安に陥れたが、実際には大きな地震は発生しなかった。

 気象局地震測報センターの陳国昌代理主任は、林氏に対しこれまでに2度、地震予測に関連する投稿を行わないよう求める通知を送付したが、無視されたため、司法関係者を含む委員会を招集して違法行為に当たるかを慎重に判断した上で3月1日に20万元の罰金処分を命じたと説明。なお「気象法」違反で罰金処分が出されるのは同法が成立して以来、初のケースだという。

 処分に対し林氏は「気象局は地震予測の能力がないなら、法律を盾に市民の予測を妨害すべきではない」と批判した上で「無料で宣伝でき、知名度が上がった」とうそぶいた。

 なお彼は10年に及ぶ予測活動で負債が数百万元を超えているため、裁判所に破産を申し立てているそうだが、今回、罰金処分を受けた際、多くのネットユーザーから寄付の申し出を受けたものの、当初はこれを拒み、「弁護士と対応を協議する」と表明した。しかし、罰金については破産申立の対象とはならないことが判明すると、一転してFBで寄付を受け付けると発表した。

 本人は善意や使命感から予測を行っている可能性もあるが、花蓮市民からは「根拠もなく不安をあおって花蓮観光にさらなる打撃を与えた」などと評判は芳しくないようだ。

 気象局は、台湾は地震帯の上に位置するため月にM5.0以上の地震が平均2件発生していると前置きした上で、現在の科学では有効な地震予測は不可能だと指摘し、市民は十分な地震に対する備えを講じ、根拠のないデマに惑わされないよう呼び掛けている。