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中国が仮想通貨の規制強化か、台湾供給網に警戒感


ニュース 電子 作成日:2018年3月12日_記事番号:T00075905

中国が仮想通貨の規制強化か、台湾供給網に警戒感

 中国政府が年内にビットコインなど仮想通貨の採掘(マイニング)を全面禁止し、全てのマイニング工場を閉鎖するよう求めるとの情報が流れており、台湾積体電路製造(TSMC)など半導体メーカーや、微星科技(マイクロスター・インターナショナル、MSI)などビデオカードメーカーの業績が一気に冷え込む可能性が出てきた。12日付経済日報などが報じた。

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 中国の中央銀行、中国人民銀行の周小川総裁は先週9日、仮想通貨への投機により、一夜で儲かるような幻想を抱かせるのはよくないと述べた。また、仮想通貨の取引は、実体経済の発展に注力する中国政府の方向と合致しないので、監視を強めるとの考えを示した。

 中国政府は昨年9月に仮想通貨取引所の停止を命じている。

 近年スマートフォンやタブレット端末などの需要が不振となる中、ビットコインなど仮想通貨ブームが盛り上がり、参入した台湾メーカーも恩恵を受けている。TSMCなどが大規模な受注を獲得し、IC設計の晶豪科技(ESMT)、メモリー大手の旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル、MXIC)、シリコンIP(知的財産)プロバイダーの創惟科技(ジェネシス・ロジック)などや、ビデオカードメーカーの微星科技(MSI)や華碩電脳(ASUS)、撼訊科技(TUL)なども業績好調が続いている。

 証券会社は、仮想通貨サプライヤーは主に仮想通貨マイニング世界最大手の北京比特大陸科技(ビットメイン)から受注しているため、中国政府が規制強化に乗り出した場合、大きな影響を受け、仮想通貨の相場も同様と指摘した。

 米国証券取引委員会(SEC)が先週、米国の仮想通貨業者に対し、SECへの登録を義務付ける方針を示したことで、ビットコイン価格は11日夜までに前週比25%急落した。もし中国政府が仮想通貨を一掃すれば、影響は計り知れない。

中国ビットメイン、対応模索

 ビットメイン創業者の呉忌寒CEO(最高経営責任者)は、中国当局の規制に対するリスクを検討しており、軍事用AI(人工知能)チップ参入や、ブロックチェーンへの投資強化を計画しており、海外展開も加速すると述べた。

 ビットメインはサンフランシスコ、イスラエル、オランダに研究開発(R&D)センターがあり、今年初めにスイスに支社を、シンガポールに地域本部を設立した。カナダでマイニング工場の候補地を探しているとの情報もある。

 市場関係者は、呉CEOは中国当局の規制強化を意識していると分析した。

専用マシン、ビデオカードに打撃

 一方、ビットメインは4月に仮想通貨イーサリアム専用マイニングマシンを発売するとの観測が出ている。マイニング専用マシンは、ビデオカードを使用したマイニングより効率がよい。ビデオカードメーカーは、マイニングマシンへの移行が進んだ場合、ビデオカードの過半を占めるマイニング向け販売が失われると懸念を示した。

 市場調査会社のジョン・ペディによると、過去3年の仮想通貨マイニング向けビデオカード生産額は11億米ドルに上り、販売枚数は415万枚で、うち17年が300万枚を占めた。

 ASUSとMSIの17年ビデオカード出荷枚数は500万枚を超え、それぞれ前年比10~20%増、20~25%増だった。

【表】