ニュース 電子 作成日:2018年3月14日_記事番号:T00075954
トランプ米大統領が12日、シンガポールに本社を置く半導体大手、ブロードコムによる米クアルコムの買収を禁じる命令を出したことで、台湾の半導体業界に安堵感が広がった。もし買収が成功して巨大企業が誕生していれば、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)などは厳しい価格交渉を迫られるためだ。IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)などは、ライバルが巨大化し、競争が激化する事態を免れた。14日付経済日報などが報じた。
ブロードコムが1,170億米ドルでクアルコムを買収するハイテク史上で最大規模のM&A(合併・買収)計画は消滅した。トランプ大統領は、米国の安全保障を脅かす恐れがあるためと禁止命令の理由を説明した。
これにより、インテルが防衛策としてブロードコムを買収する必要もなくなる。ファウンドリーの▽TSMC▽聯華電子(UMC)──、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)の▽日月光半導体製造(ASE)▽矽品精密工業(SPIL)▽京元電子(KYEC)──などは、顧客の価格交渉力が高まる状況を回避することができた。IC設計の▽メディアテック▽瑞昱半導体(リアルテック・セミコンダクター)──などは、巨大なライバルと戦うという、市場競争の大きな変化に直面せずに済んだ。ただ、メディアテックの米国市場シェア拡大を抑え込むため、クアルコムが価格競争で攻勢をかけるとの見方も出ている。
中国ファーウェイ脅威が背景
米国の対米外国投資委員会(CFIUS)はこれまでに、ブロードコムのCEO(最高経営責任者)のホック・タン(陳福陽)氏がマレーシア系の華人で、中国に技術が流出する懸念があるとの見方を示している。
バーンスタイン・リサーチの半導体アナリストは、クアルコムがブロードコムに買収されれば、5G(第5世代移動通信システム)技術の研究開発(R&D)などへの設備投資が減り、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の脅威が増すことを米国は恐れていると指摘した。
クアルコムとの5G提携続行
科技部の許有進政務次長は、クアルコムの幹部が先日、科技部を訪れて提携計画を協議しており、5G、IoT(モノのインターネット)、通信業などの提携計画は停止も中止もしておらず、台湾との提携関係は今後も続くと述べた。
クアルコムは台湾メーカーと関係が深い上、工業技術研究院(工研院)と5Gプロジェクトでも提携しているが、公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)が昨年10月、公平交易法(独占禁止法に相当)違反で課徴金234億台湾元(約850億円)を課したことで、台湾との提携関係が一時危ぶまれていた。
経済部技術処の羅達生処長は、トランプ大統領の行政命令でブロードコムのクアルコム買収は不可能になったが、今後もM&Aの動向に注視すると述べた。
アナリストの間では、ブロードコムの次の買収ターゲットとして、ザイリンクス、アナログ・デバイセズ、マキシム・インテグレーテッドの名前が挙がっている。
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