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作成日:2008年5月22日_記事番号:T00007599
台湾人元日本兵、民進党政権に抗議で焼身自殺
長年にわたり台湾籍老兵の権益のために尽力していた「台湾籍老兵協会」理事長の許昭栄氏が、馬英九政権が誕生した20日、高雄市旗津の「戦争と平和記念公園」で焼身自殺した。80歳だった。残された遺書には、民進党政権に対する不満や政治への失望などがつづられており、自らの死という過激な手段で抗議を表したとみられている。
許氏は午後7時頃、公園内の「台湾無名戦士記念碑」前に駐車した自動車の中で、ガソリンを浴びた後、火を付けて自殺。同公園は彼が十数年にわたる奔走の末2005年に落成したもので、記念碑は異郷で戦死した台湾人老兵を記念するために建立した。しかし、同公園は「平和記念公園」に改名されることが3月の市議会で決定されており、これに反対する許氏と高雄市の間で話し合いが並行していた。
許氏の遺書には、「現行の退役軍人への援助制度は不公平で、同じ退役軍人でも外省人は優遇され、本省人(台湾籍)は軽視されている」など、民進党政権を痛烈に批判。「自分の意志により、死をもって台湾の為政者の歴代による台湾籍老兵に対する長期にわたる精神的虐待に抗議する」と書かれていた。
許氏は1928年生まれ。日本統治時代に海軍の訓練を受けた元日本兵で、中国で国共内戦にも従軍。台湾独立の書籍を閲覧したとして捕えられ、緑島で10年間政治犯として服役した後、カナダへ亡命した。87年台湾に戻ってからは、国民党により国共内戦に強制従軍させられた無名の戦没者の追悼慰霊に奔走し、94年に「台湾籍老兵協会」を設立していた。