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「台東のアワ」、日台学生が共同で種まき


ニュース 社会 作成日:2018年3月16日_記事番号:T00076028

「台東のアワ」、日台学生が共同で種まき

 台東市の国本農場で15日、アワの栽培を復元する活動の一環として台湾在来種のアワの種まきが行われ、これに地元高校、台東女子高級中学と日本・龍谷大学(京都市)の学生が参加し、交流を深めた。

/date/2018/03/16/20kakomi_2.jpgアワの種をまく日台の学生たち。貴田氏の残した資料が今回のイベントに大きく貢献した(15日=中央社)

 台湾ではかつて先住民によって全土でアワが栽培されており、その作付面積は2万ヘクタールにも上ったとされる。当時は品種も多く、日本統治時代の1941年に調査を行った日本人研究者の貴田武捷氏は、200種以上のアワを採集し、うち130種余りを選んで初めて品種目録を完成させた。

 同目録には台東のアワ27種もその形状や先住民による呼称とともに記載されており、台東県林務局台東林区管理処(台東林管処)と台東永続発展学会が同県において共同で取り組むアワ栽培の復元にとって貴重な資料となっている。

 現在、台湾におけるアワの作付面積は約200ヘクタールとかつての100分の1以下に縮小。これによりアワを好むニュウナイスズメ、そのスズメを捕食するクマタカも絶滅の危機にひんしている。

 また日本時代に九州の品種が導入され、品種改良が進められたこともあって台湾在来種の多くが消失。現在残された在来種は60種余りとなっている。これについて専門家は、アワは品種ごとの違いが大きく、一部の鳥類は特定の品種しか食べないため、品種の減少はエサの種類が減ることに直結すると指摘。またアワは先住民の文化と深く結び付いており、部族ごとに品種の呼び名が異なるほか、それぞれに独自の神話が伝えられているため、ある品種が消失すれば、それにまつわる文化も断絶することになるという。

 現在、先住民集落でアワの栽培に従事する者の平均年齢は60歳を超えており、今後も品種の数は減っていくことが懸念されている。こうした状況を受けて台東林管処と永続発展学会は現在、生態系の復元や文化の伝承を目指し、パイワン族やブヌン族の集落で多くの品種のアワ栽培に取り組んでいる。