ニュース 電子 作成日:2018年4月10日_記事番号:T00076387
中国の清華大学系半導体大手、紫光集団(チンホア・ユニグループ)で積極的な海外買収路線をけん引してきた趙偉国董事長が8日、傘下の紫光股份、紫光国芯の董事長を辞任すると表明した。辞任理由は「業務多忙のため」とされているが、業界専門家は中国半導体業界で「紫光モデル」による経営が行き詰まったのではないかとみている。10日付自由時報が伝えた。
紫光集団は趙董事長の陣頭指揮で、2013年から1,000億人民元(約1兆7,000億円)近い資金を投じ、半導体、通信分野の企業20社を相次いで買収した。趙董事長の去就が台湾で注目を浴びるのは、趙董事長がかつて矽品精密工業(SPIL)や力成科技(パワーテック・テクノロジー、PTI)など台湾半導体大手企業への出資に意欲を見せた経緯があるからだ。
ただ、こうした買収路線は必ずしも順調ではなかった。2015年には米マイクロン・テクノロジーを230億米ドルで買収しようとしたが、米国の対米外国投資委員会に待ったをかけられた。韓国のSKハイニックスの株式20%の取得も目指したが、拒否された。
趙董事長は15年、TSMCの株式を取得する意向を示したが、TSMCの張忠謀(モリス・チャン)董事長が「TSMCの時価総額は1,140億米ドルに達し、25%を取得するとしても300億米ドルが必要だ。世界で買収能力を持つ者は少ない」などと反論し、拒絶したことも記憶に新しい。
聯発科技(メディアテック)をめぐっては、同社の蔡明介(ミンカイ・ツァイ)董事長も中国資本受け入れに積極的だったが、蔡英文政権の発足でうやむやになった。
業界アナリストの孫永杰氏は「趙偉国氏の急進的な買収戦略と物議を醸した言動から、業界では単に株式投機で利ざやを上げようとしているのではないかとして、真の買収目的に対する疑いが生まれていた。中国政府の支援で自らの資産運用をしているのではないかという声もあった」と指摘した。
一方、趙偉国氏の戦略が成功しなかったことで、「先端技術はカネでは買えない」ことが証明された側面もある。積極的な買収が必ずしも中国半導体産業の競争力向上にはつながらなかったからだ。
台湾人幹部の去就も注目
趙偉国氏の辞任を受け、同氏がスカウトした台湾人幹部の去就も注目される。華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の元董事長で、紫光傘下の長江存儲科技(YMTC)を率いてきた高啓全氏がその筆頭だ。このほか、南亜科技の施能煌副総経理、聯華電子(UMC)の孫世偉元執行長なども紫光入りしている。これら台湾人幹部をめぐっては、趙偉国氏の辞任で立場が微妙になるとの見方がある一方、中国半導体業界は人材層が薄いため、影響を受けないとの見方が交錯している。
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