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記事番号:T00076411
2018年4月11日15:41

 台湾10位の観光ホテル、台北威斯汀六福皇宮(ザ・ウェスティン台北)が今年末で閉館することが決まった。運営する六福旅遊集団(レオフー・ツーリズム・グループ)が10日、建物の賃料高騰に業績が追い付かないため、貸主の国泰人寿保険(キャセイライフ)から、今年12月31日以降、賃貸契約を延長しないことを通告され、閉館を決めたと説明した。地価高騰がビジネスを阻害した新たな例で、同館が台湾を代表する大型観光ホテルであるだけに業界に衝撃を与えている。11日付工商時報などが報じた。

/date/2018/04/11/00hotel_2.jpgウェスティン台北。レオフーは中国語ブランドの「六福皇宮」は存続させ、別の機会に改めて使用したい考えだ(10日=中央社)

 ウェスティン台北は1999年に開業。台北MRT(都市交通システム)南京復興駅に近い好立地の5つ星クラスの国際観光ホテルで、地上15階、地下6階建て、客室288室、レストランとバー7軒、ベーカリー1軒、多機能会議室と大型宴会ホール22室から成る。平均宿泊料金は6,128台湾元(約2万2,400円)、昨年売上高は12億9,300万元でレオフーグループの売上高全体の39.74%を占めた。

 しかし、年間約5億元に上ると推測される賃貸料に圧迫され、昨年は2億4,000万元の税引前赤字を計上。ちなみにレオフーグループ全体では昨年、台南六福荘(レオフー・リゾート)の開発中止や、債務者の不渡りなどによって10億3,200万元の赤字を計上していた。

 閉館を発表した記者会見で、荘豊如レオフーグループ執行長は、「開業からの20年、賃貸料は毎年上昇した」と恨み節を述べた。

/date/2018/04/11/00westin_2.jpg荘執行長(右)はウェスティン台北の開業当時から業務に携わっており、無念の閉館決定にしばしば涙を拭った(10日=中央社)

 これに対しキャセイライフの林昭廷シニア副総経理は、「世界金融危機に見舞われた09年には引き下げており、契約内容の見直しも図った」と反論。ウェスティン台北は同規模のホテルと比べて飲食部門の業績改善が必須だったことは明らかだったため、14年段階で一定水準に達するよう契約で要求、しかし16年に至っても達成できなかったため、本来は昨年時点で契約を終止していたはずだったが、さらに1年間の猶予を与えるなど、十分に配慮してきたと説明した。現在、ウェスティン台北の投資収益率は1.875%で、行政院金融監督管理委員会(金管会)が不動産投資において定める最低ラインの2.345%を下回っており、金管会の規定を順守することがキャセイライフの立場だと強調した。

ビジネス客が減少

 ウェスティン台北の閉館は、ビジネス客が増えない中で、市場競争が激化したことも要因だ。昨年、台湾を訪れた外国人旅行者は延べ1,073万人に上り、過去10年で2.8倍に増加した一方、ウェスティンがターゲットとするビジネス客は08年の延べ88万人から17年には延べ74万人に減少した。荘執行長は「台湾観光の評価基準はおかしい。あまりにグループツアー志向に偏り過ぎており、本当に価値のある生産額が見過ごされている」と指摘した。

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 また、ウェスティン台北が開業した99年当時は台湾ホテル業界の過渡期で、前後7年間、新たなホテルの開業がなかった。しかし、台北市信義区で新たなホテルが相次いで開業したことで、市場競争は厳しさを増していった。

寒舎集団が買収か

 ウェスティン台北の閉館後について、キャセイライフの林シニア副総経理は、「再開発はあり得ない。修繕した後、新たな入居者を募集する」と語っている。

 市場では、寒舎餐旅管理顧問集団が次の借り手になるとの見方が出ている。同グループが運営する台北喜来登大飯店(シェラトングランド台北ホテル)が、ウェスティンと同じマリオット・インターナショナルのブランドで、キャセイライフが賃貸主であるためだ。

 寒舎は02年に来来飯店を買収してシェラトン台北として再生させた実績を持つことも、観測の根拠となっている。

【表】

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