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往診器材がスマホ1台に、健保署が専用アプリ開発


ニュース 社会 作成日:2018年4月12日_記事番号:T00076460

往診器材がスマホ1台に、健保署が専用アプリ開発

 台湾の医師はこれまで、患者の自宅へ往診や訪問診療に出向く際、医療機器に加えて全民健康保険カードの読み取り装置など重い器材を携行する必要があったが、衛生福利部(衛福部)中央健康保険署(健保署)は、スマートフォンがあればカードの読み取り、記録が可能となるアプリを開発。医師の負担を大幅に軽減するとして期待を集めている。

/date/2018/04/12/20hospital_2.jpg将来は患者が病歴などの情報を自宅でも完全な形で見られるようにすることが目標だ(11日=中央社)

 内政部は10日、3月末時点で台湾は65歳以上の人口比率が14%を超える「高齢社会」に入ったと宣言しており、今後は病気などで行動が制限される高齢者が、自宅で医師の訪問診療や往診を受けるケースがますます増えると予想されている。

 健保署では、病院へ出向くことが困難な市民が十分な医療行為を受けられるよう、2016年から在宅医療サービスの充実に取り組んでおり、現在台湾全土で2,054カ所の医療機関が関連サービスを提供。約3万3,000人の患者が恩恵を受けている。

 しかし医師が訪問診療や往診を行う際、簡易式の医療機器以外に健保カード読み取り装置、バッテリー、ノートパソコンなど総重量4キログラムを超える機器を携える必要があり、大きな負担となっていた。

 彰化県二水郷衛生所の陳宏賓主任は通常、昼休みを利用して往診を行っているが、同地では患者の自宅が車の入れない山間部にある場合も多く、重い器材を抱えて険しい山道を登り、やっと目的地に着くころには全身汗まみれになっているという。さらに患者の家に入るとまず機器をネットワークに接続し、カードの読み取りや認証を行う必要があるが、通信状況が悪くなかなか診察に取り掛かれないことも悩みの種だったそうだ。

 今回、健保署が開発したアプリは4キロの機器の機能をスマホ1台に集約できるほか、ネットワーク接続なしでカードの読み取りや記録が可能となり、医師の負担軽減や効率向上に大きく貢献するとみられている。同アプリは既に、中部地区の医療機関57カ所で試験的に導入されており、医師や患者から高い評価を受けているという。

 社会の高齢化が進めば今後、テクノロジーに頼る部分がますます大きくなっていくと考えられるが、情報通信技術(ICT)に強みを持つ台湾はこうした分野でも世界をリードしていくことになるのかもしれない。