毛治国交通部長は22日、7月からの就航を目指す中台週末直航チャーター便の開放について、金~月曜日の4日間、週36便(中台の航空会社各18便)、延べ72機を運航することで中国側と協議を進める方針を示した。また、台北松山空港など8カ所を台湾側空港として同時開放したい考えだ。ただ、国防部は8空港の同時開放に安全保障上の懸念があると表明しており、原案通り実施されるのかどうか注目される。23日付中国時報などが報じた。
毛交通部長よると開放が計画されているのは、▽松山空港▽桃園国際空港▽台中空港(清泉崗空港)▽高雄国際空港(小港空港)▽花蓮空港▽台東空港▽馬公空港(澎湖県)▽金門空港──の8カ所。各空港における発着便数については、海峡交流基金会(海基会、台湾)と海峡両岸関係協会(海協会、中国)による協議を経て、旅行業者および航空会社による自由競争の原則に従って決定するとしている。このため、直航便開放後も利用されない空港が出る可能性もあると毛交通部長は語った。
直航便の飛行ルートは従来の祭日チャーター便と同じ、香港飛航情報区(香港政府が管制、飛行支援などの航空業務を担当する空域)を経由して中国の空港へ向かう。
また、チャーター便の形式を採るため、航空会社にも運営権の指定制度や分配制度は採用せず、現在運航を休止している遠東航空(ファーイースタン・エア・トランスポート)も、正常な運航を回復できれば直航便への参入が可能だ。
劉兆玄行政院長も同日、利用空港など詳細は中国側との協議が必要となるが、「7月までにはすべて準備が整うだろう」と楽観的な見方を示した。
ただ、域内8空港の開放方針を受け、交通部民用航空局(民航局)が分析したところ、松山空港では1日に16機、台中空港(清泉崗空港)では軍用機も利用するため4機しかチャーター便を運航できず、今後拡張工事が必要となることが判明した。松山空港について民航局は長期計画として、今後60億台湾元(約205億円)を投じ、隣接する4.14ヘクタールの建築禁止区域(撫遠街)への拡張を計画している。
「台北・高雄優先で」
一方、国防部の林鎮夷軍備副部長は、毛交通部長の8空港同時開放の方針に対し、22日の立法院で「桃園(国際空港)と小港(高雄国際空港)を優先させるべき」と発言した。呉健行空軍参謀長も、「花蓮と台東の2カ所は戦争に備えた戦力保持のため、開放は最後にすべき」との考えを示している。
林副部長は、「大陸(中国)は依然として中華民国の主要敵国であり、両岸(中台)関係が緩和されるからといって、軍が気を緩めることはない」と語り、今後直航便が就航する空港には危機対応部隊を増員するとの考えを示した。
中国人利用者の身分は問わず
毛交通部長は、直航便開放に合わせて計画している中国人観光客の来台開放について、中国人観光客の身分審査は中国側が行い、「台湾側では制限を設けない」との方針を示唆した。初期は1日3,000人を上限として団体単位での開放を予定している。観光バス1台分の容量を基準に、1団体最低15人、最高40人としている。
また、現在の祭日チャーター便を利用できるのは、台湾人ビジネスマンとその家族、中国で就学する学生、台湾人観光客に限られているが、毛部長は週末チャーター便については、中台で有効なビザを取得すれば外国人も利用可能とする考えを示した。