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TSMC、18年売上予測を下方修正


ニュース 電子 作成日:2018年4月20日_記事番号:T00076593

TSMC、18年売上予測を下方修正

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は19日の業績説明会で、第2四半期の連結売上高見通しを前期比7.0~8.2%減の2,277億6,000万~2,306億8,000万台湾元(約8,340億~8,450億円)と発表、市場予測を下回った。通年売上高の成長幅予測も従来の10~15%から10%へと引き下げた。20日付工商時報が報じた。

/date/2018/04/20/00tsmc_2.jpg魏共同執行長。予想を裏切る発表内容だったものの、外資系証券会社からは「谷底は近い」との見通しも聞かれた(19日=中央社)

 魏哲家共同執行長は、売上見通しの下方修正について、スマートフォン用需要が予想を下回ったこと、および仮想通貨の採掘(マイニング)用ASIC(特定用途向けIC)需要が不確実性に満ちていることを理由に挙げた。

 第2四半期の米ドルベースの予想売上高は78億~79億米ドルで、前期比6.6~7.8%減、前年同期比10.5~11.9%増となる。台湾元ベースの売上予測2,277億6,000万~2,306億8,000万元は、1米ドル=29.2台湾元を想定レートとして計算したもので、前年同期比では6.5~7.9%増を見込む。

 第2四半期の粗利益率は47~49%、営業利益率は35~37%で、いずれも前期、前年同期を下回る予想だ。この理由についてTSMCは、台湾元の上昇、および生産品目の割合が理想的でないことを挙げた。

/date/2018/04/20/01tsmc_2.jpg

 ASIC製品については、第2四半期業績は前期を上回り、下半期は上半期を上回るとして、今年は成長が続くとの見方を示した。ただ、仮想通貨の暴落後、28ナノメートル製造プロセス製品は需要が弱まったと指摘。20ナノおよび先端プロセス製品の需要は強いものの、同市場には依然慎重な見方を示した。

 TSMCは、今年の半導体およびファウンドリー市場の展望も下方修正した。メモリーを除く半導体市場の成長率予測を年初の5~7%から5%に引き下げるとともに、ファウンドリー市場は同じく9~10%から8%へと引き下げた。

7ナノ売上比率、Q4に2割へ

 TSMCは現時点で業界で唯一、7ナノ製品を量産している。魏共同執行長は、7ナノ製品の売上比率が今年第4四半期には20%に上昇するとの見通しを示した。テープアウト(設計完了)した7ナノ製品は昨年10件以上で、現時点で顧客18社以上が採用したと表明。今年末までにテープアウトは50件以上に達し、スマホ、グラフィックチップ、マイニング、高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)用などのチップが全て7ナノで量産されると見通しを明らかにした。

 証券会社は、クアルコム、深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)がスマホチップに、ザイリンクスがFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に7ナノを導入すると予想している。注目はアップルの「A12」プロセッサーで、TSMCが予定通りのスケジュールで受注できれば、今年第4四半期は過去最高の100億米ドル以上の売上高を達成できる可能性がある。

 5ナノ製品について魏共同執行長は、19年第1四半期の試験生産が目標で、既にテストウエハーを使った生産に入っていると説明した。

 魏共同執行長はまた、極端紫外線(EUV)リソグラフィー技術を採用した露光用フォトマスクは、設備の9割が10ナノと7ナノの兼用となっており、EUV導入ペースは予定通りで来年には量産に入れると説明、進展が遅れているという一部の観測を否定した。

設備投資額を上方修正

 TSMCはまた、今年の設備投資額を当初予定の105億~110億米ドルから115億~120億米ドルに引き上げることも発表した。このうち5億米ドルをフォトマスクの生産能力拡大、3億米ドルを先端EUV設備の先払い金に充てる。今後数年間の設備投資額は100億~120億水準を予想している。

 なお、TSMCの売上見通し下方修正を受けて、台湾株式市場の同社株価は20日、取引開始直後に6%を超える大幅下落となり、加権指数も一時190ポイント下落して1万800ポイントを割り込んだ。20日のTSMC終値は前日比6.34%下落した。加権指数は1万779.38ポイントと191.84ポイント(1.75%)下落した。

【表】