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台塑化、米ルイジアナ一貫プラントに着手


ニュース 石油・化学 作成日:2018年4月25日_記事番号:T00076669

台塑化、米ルイジアナ一貫プラントに着手

 台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル、台塑化)と米ルイジアナ州のエドワーズ知事は現地時間の23日、同州セントジェームズ郡に石化一貫プラントを設置する投資額94億米ドルの大規模プロジェクトへの着手を宣言した。台塑集団(台湾プラスチックグループ)にとって近年最大の海外投資案件だ。台塑化が海外に生産拠点を設けるのは初めてで、台プラ主要4社による米国展開が完成を迎えることになる。25日付経済日報などが報じた。

/date/2018/04/25/00formosa_2.jpgエドワーズ州知事(左4)と林克彦・台塑化執行副総裁(右2)らがプロジェクト着手を宣言した(セントジェームズ郡フェイスブックより)

 同プロジェクトは今年末までに環境影響評価(環境アセスメント)を終え、2020年第1四半期に着工。第1期として22年から24年にかけ▽高密度ポリエチレン(HDPE)▽直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)▽エチレン▽エチレングリコール(EG)▽ポリプロピレン(PP)▽プロピレン──の生産を開始する。第2期では27年から28年にかけて▽HDPE▽低密度ポリエチレン(LDPE)▽エチレン▽EG──の生産を開始。主に米国市場に供給する。

/date/2018/04/25/plastic_2.jpg

 ルイジアナ州によると、台塑化プラントはセントジェームズ郡最大の産業となり、同郡の税収倍増をもたらす。創出する就業機会は1,200件で、特に建設期間の就業件数は8,000件に達する。

シェールガスなど誘因

 台塑化による米国での大規模プロジェクト決定は、▽米国の市場環境▽シェールガス▽投資優遇策──が3大誘因となった。

 米国では近年、石化製品が供給不足に陥っており、需要は今後さらに拡大する見通しだ。トランプ大統領が製造業の米国回帰政策を進める中、スピーディーに投資を行って有利な地位を占めるべきとの判断が働いた。

 また、米国はシェールガス採掘が本格化して以降、安価な原料を求めて世界の石化メーカー進出が増えている。シェールガスに含まれるエタンは80%をエチレンに精製することが可能で、コストは一般的なナフサプラントの約半分で済む。

 さらに今回、台塑化はルイジアナ州から用地使用税の5年間免除、後続の3年間も80%免除を受けられることになった。トランプ政権は法人税の35%から20%への引き下げを目指しており、租税面のメリットが台塑化の投資決定を後押ししたことは想像に難くない。

石化振興策、台湾政府に呼び掛け

 台塑化の陳宝郎董事長は、米国当局の努力と比較して台湾は環境アセスメントの厳格過ぎるハードルと政府の政策的協力の欠落が2大障害になっていると指摘し、台湾で石化産業の重大投資推進は既に不可能と語った。石化メーカーが今後さらに海外移転を加速すると予想されることは台湾経済にとって大きなマイナスで、政府は石化産業の振興に向けた新たな計画を打ち出すべきだと訴えた。

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