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記事番号:T00076960
2018年5月11日15:47

 ファウンドリー大手、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)の黄崇仁(フランク・ファン)執行長は10日、新竹科学工業園区(竹科)銅鑼科学園区(苗栗県銅鑼郷)に新たな12インチウエハー工場を設置すると発表した。投資額3,000億台湾元(約1兆1,000億円)で2020年の着工、23年ごろの生産開始を見込む。電気自動車(EV)用MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、および人工知能(AI)、仮想通貨マイニング(採掘)用チップなどの需要成長を見越しての投資だ。11日付経済日報などが報じた。

/date/2018/05/11/00top_2.jpg黄執行長。一度上場廃止となった半導体メーカーが再上場を果たせば、台湾株式市場で初のケースになるという(10日=中央社)

 新工場は台湾でグループ4カ所目の生産拠点となる。月産能力は最大10万枚。第1期は投資額580億元で月産1万5,000枚を達成し、第2期は3万5,000枚、第3段階は5万枚と、30年までの長期計画に応じて3段階に分ける。黄執行長は、生産能力に余裕がなく、新工場を建てなければ、顧客の注文を受けられないと説明した。銅鑼園区の選択理由については、地元政府が全力で支援、協力すると表明したことの他、竹科工場と距離が近く、人員などリソースの調整が容易な点を挙げた。

 建設資金については自己資金と銀行融資の他、資本市場から調達すると表明し、20年に株式再上場を目指すと意欲を示した。また、再上場前に社名を変更すると発言。同社はかつてのDRAMメーカーから、今や世界5位のファウンドリーに転換しており、社名変更を通じてファウンドリーとして、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ世界上位3社に挑む。

ロジック・メモリー双方に対応

 同社はMOSFET、センサー、光学医療用チップ、特定用途向けDRAM、フラッシュメモリーなどの受託生産を行っている。ロジックICとメモリー双方を生産できるファウンドリーは世界で同社だけだ。

 同社の台湾工場は12インチ月産能力10万枚、8インチは7万枚だ。また、傘下の鉅晶電子(マックスチップ・エレクトロニクス)が昨年、日月光半導体製造(ASE)から購入した生産拠点を8インチ工場に改造中で、完成時点で月産能力は5万枚になる予定だ。

 中国・安徽省合肥市で、同市政府と合弁で設置したファウンドリー、合肥晶合集成電路(ネクスチップ・セミコンダクター)の12インチウエハー工場については、主要顧客である京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)向けに生産しており、パワーチップとは直接関係がないと説明した。その上で、今後も台湾で投資を続けるとの考えを示した。

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「決して諦めなかった」

 同社はかつて台湾DRAM最大手だったが、世界金融危機後のDRAM市況の悪化で経営難に陥り、12年12月に債務超過を理由に上場廃止に追い込まれた。一時は負債額が1,000億元に達したが、13年から17年まで5年連続で黒字を達成して、再上場が具体目標になるまでの復活劇を遂げた。黄執行長は「上場廃止になった際も、不眠症にはならなかった」と精神力の強さをアピール。「この5年間は本当に大変だったが、決して諦めなかった」と胸を張った。

【図】

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