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記事番号:T00076984
2018年5月14日15:45

 鴻海精密工業は11日、20%の減資を実施し、1株当たり2台湾元(約7.4円)を株主に還元することを董事会で決定した。減資は1991年の上場以来初めてだ。アップルのiPhone新機種の販売不振で、同社の株価は昨年8月の高値から3割下落しており、株価へのてこ入れが目的とみられる。12日付経済日報などが報じた。

/date/2018/05/14/01foxconn_2.jpg2割減資を発表する龔文霖・鴻海資深処長(右)。今回の減資額は346億5,700万元。減資後の資本金は1,386億2,900万元となる(11日=中央社)

 鴻海は同時に昨年利益に基づく1株当たり2元の配当実施も発表しており、同社の11日終値の85元を元に計算すると株主が得られる利回りは2.35%となる。銀行の定期預金よりも高く、これを好感して週明け14日の鴻海の株価は4.71%上昇した。

 鴻海の動向分析で評価の高い元バークレイズ・キャピタル証券首席アナリストの楊応超(カーク・ヤン)氏は今回の減資決定の要因について、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が、安定成長期に入った鴻海の今後の成長力を慎重視していること、および資金調達の場としての台湾証券市場の魅力が低下していると感じているとみられることを挙げた。また、電子業界大手がハード機器生産からソフト、サービス重視に向かう転換期を象徴する出来事との見方も提示した。

減資34社、過去10年で最大

 台湾で今年、鴻海と同様の現金減資を行った企業は34社で、昨年通年の38社に迫る。累計減資額が鴻海を含めて615億元で過去10年で最大だ。

 ▽潤泰全球(ルンテックス・インダストリーズ)▽潤泰創新国際(ルンテックス・デベロップメント)▽義隆電子(ELANマイクロエレクトロニクス)▽奇力新電子(CHILISINエレクトロニクス)▽台塑勝高科技(フォルモサ・サムコ・テクノロジー、台勝科)──などは鴻海を上回る30%の減資を実施している。減資は株主の投資利益率(ROI)、1株当たり純利益(EPS)を高めることができるメリットがあり、台勝科が減資直後にストップ高になったように株価に直接的な効果をもたらすケースも多い。ただし、楊応超氏が指摘するように高成長期にある企業は減資はしない。減資を行う企業が増えていることは、高成長を見込む台湾企業が減っていることの裏返しでもある。

FIIのIPOに正式認可

 鴻海は12日、傘下の富士康工業互聯網(フォックスコン・インダストリアル・インターネット、FII)が中国証券監督管理委員会(証監会)から11日に、上海A株市場での新規株式公開(IPO)申請に正式認可を受けたと発表した。早ければ5月末から6月初旬にかけての上場が見込まれ、将来、時価総額が同市場のハイテク銘柄で最高の5,000億人民元(約8兆6,000億円)に達する可能性があるのではないかと注目を集めている。鴻海は減資で外資の買いが戻れば、FIIの上海A株での取引価格安定にも貢献するかもしれない。

戴シャープ社長、20年まで続投

 なお、日本メディアの報道によると、鴻海傘下のシャープの戴正呉社長は、2020年3月まで社長として続投することを社員に伝えたという。

 同社は戴社長の指揮の下、2017年度に702億円の4年ぶりの黒字を達成。6年ぶりの復配を発表していた。将来、戴社長が退任する際は、副社長執行役員で管理統轄本部長の野村勝明氏、AIoT戦略推進室長兼欧州代表の石田佳久氏、ディスプレイデバイスカンパニー副社長兼中国代表の高山俊明氏の3人のうちのいずれかが社長に昇格するとみられている。

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