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記事番号:T00077013
2018年5月15日15:49

 頼清徳行政院長は14日、台湾の長年の課題である低賃金問題への対策として、台湾全土の政府機関などで働く派遣・臨時職員の賃金を月3万台湾元(約11万円)以上に引き上げる方針を示し、企業にも賃上げで追随するよう呼び掛けた。また、労働者の時給の最低賃金を現在の140元から150元に7%引き上げることを提案した。任期の折り返し地点を迎えた蔡英文政権が、重要課題と位置付けていた低賃金問題で、後半期に一定の成果を出す決意を示した形だ。15日付工商時報などが報じた。

/date/2018/05/15/00top_2.jpg政府の低賃金対策案を発表する頼行政院長(中)。時給の最低賃金引き上げなどを当面の措置とし、長期的には産業構造の転換によって産業界全体の賃上げを進める考えだ(14日=中央社)

 時給の最低賃金引き上げ提案に対し、許銘春労働部長は「引き上げは皆の共通認識だ。第3四半期に開かれる基本工資(最低賃金)審議委員会で討論される」と前向きな見解を示した。許労働部長は3月の就任時にも、最低賃金は毎年必ず引き上げるべきとの考えを示していた。

 施俊吉行政院副院長は、時給の最低賃金引き上げの狙いについて、現在の時給140~170元では、月額の最低賃金2万2,000元と12~36%の差があると述べ、これを埋めるためとの考えを示した。

 一方、政府機関、公営企業、政府投資事業の派遣・期間労働者の賃上げについては、月給3万元未満で働く労働者は1万6,067人に上り、最低でも月給3万元以上を実現するために9億6,000万元の経費を投入すると説明した。

 施副院長はこの他、毎年公開してきた企業の福利費(給与などを含む)ランキングについて、これまで匿名化していたワースト50位までの企業の実名公開を今後検討すると表明した。公開により企業に賃上げを促すことが目的だ。

産業団体は渋面

 産業団体は政府機関内の賃金引き上げには賛意を示した一方、時給の最低賃金150元への引き上げ方針には渋い表情だ。

 中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、「賃上げは市場メカニズムに委ねるべきで、行政院長が音頭を取るのは好ましくない」との認識を示した。その上で、商総の調査によると近年は政策的要因で経営コストが上昇しており、企業に賃上げ意欲を失わせていると指摘した。

 中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長も「賃上げは企業が業績に基づいて判断するべきことだ」と批判した。

 民間業者からも「ハイシーズンの夏は従業員の労働時間短縮は無理で、持ちこたえられなくなったら、店を閉めるしかない」(高雄市の持ち帰り飲料スタンド業者)、「時給150元への引き上げでも当面は経営できるが、販売価格への反映が選択肢になる」(高雄市の食堂業者)といった声が聞かれた。

コンビニ4社、人件費10億元増

 時給引き上げで大きな影響を受けるコンビニエンスストア業界では、時給10元の引き上げで大手4社の人件費は少なくとも年間10億元上昇するとみられている。

 行政院の発表を受けて14日の台湾株式市場では、人件費がコストに占める割合が高い観光サービス業界の企業の株価下落が目立った。飲料・デザート店チェーンの六角国際事業はストップ安に、飲食チェーン最大手、王品集団もストップ安に近い9%の下落となった。

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