ニュース 電子 作成日:2018年5月18日_記事番号:T00077099
鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は17日、北京市の清華大学で行った講演で「われわれは必ず半導体を自製する」と明言した。郭董事長が、鴻海グループとして半導体製造分野に参入する方針を公に発言したのは今回が初めてだ。スマート製造に注力して、「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」の商機を獲得しようという郭董事長の野心がうかがえる。18日付経済日報などが報じた。
郭董事長は「東芝メモリーの買収では日本政府の同意を得られなかったが、われわれは非常に強力な半導体事業部を設立した。100人以上が設計から製造に従事している」と述べた。
半導体製造に進出する背景として、半導体の毎年の調達額が400億米ドルの高額に上っていること、および産業向けモノのインターネット(IoT)分野への参入で、大量のセンサーチップや従来型チップが必要になることを挙げた。産業向けIoTの商機については「絶対に見過ごすわけにはいかない」と語った。
IC設計大手を買収か
郭董事長の発言に対し半導体業界からは、「数百人という人員規模から、当面はIC設計が中心」との観測が出ている。鴻海グループは産業向けIoT、8K、第5世代移動通信規格(5G)などに注力しているため、具体的な半導体製品は、液晶パネルドライバICやネットワークチップが優先対象となるとみられるという。
台湾の大手IC設計会社は、「鴻海はまだわれわれの水準に、はるかに及ばない」とみている。技術と人材面でのキャッチアップは困難なため、業界からは、鴻海はIC設計業界の上位20社のうちいずれかを買収する形で参入するという観測も出ている。
「90歳でも働きたい」
清華大での講演で郭董事長は、かつて自身が出資した医療機関で遺伝子検査を行った際、「少なくとも120歳まで生きる」と告げられたことを明かし、「私は今68歳だが、90歳になっても毎日働いている李嘉誠氏(香港の大富豪)に学びたいと思う」と述べ、高齢になっても働き続ける意欲を示した。
李嘉誠氏については、未来を担う清華大生との交流が重要と考え、同氏との食事の約束を同大での講演の後に回したことも明らかにした。
FII上場を支援
一方、鴻海は傘下の産業向けIoT事業子会社、富士康工業互聯網(フォックスコン・インダストリアル・インターネット、FII)の上海A株市場上場が注目を集めているが、鴻海グループの産業用コンピューター(IPC)メーカー、樺漢科技(エノコン)と、同社子会社の瑞祺電通(Caswell)の董事長を兼任する朱復銓氏は17日、郭董事長からFII上場を全力で支援するよう命じられたと発言した。その上で、FIIを航空母艦、エノコンとCaswellを駆逐艦、巡洋艦として、共に中国のスマートIoTの膨大な商機を獲得していく考えを示した。
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