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記事番号:T00077124
2018年5月21日15:49

 蔡英文政権の発足から20日で満2年、任期の中間点を迎えた。台湾のメディアやシンクタンクが相次いで発表した蔡総統の評価に関する世論調査は、いずれも「不満」が「満足」を上回る従来通りの傾向に変化がなく、今年11月の統一地方選挙での民進党の苦戦を予感させるものとなった。

/date/2018/05/21/01tsai_2.jpg蔡総統。総統の職務を「苦しいこともあるけれども、やりがいのある仕事」と述べ、改革推進への意欲を語った(中央社)

 蔡総統に対する満足度と不満足度の割合は、台湾世代智庫で「44.4%対51.5%」、台湾民意基金会で「39%対48%」、台湾守護民主平台で「14%対42%」と、親民進党系のシンクタンクや団体の調査でも全て「不満足」が「満足」を上回った。親中国・親国民党メディア、中国時報では「24.3%対58.8%」と、不満足度の割合が最も高かった。

 台湾世代智庫のアンケートでは、不満足の割合は高いものの、「蔡総統を支持」は53.5%、「不支持」は43.1%と「支持」が「不支持」を10ポイント上回る。また、「蔡総統の改革に取り組む決意を信じる」という回答は64%に上った。蔡政権は馬英九前政権では取り組めなかった公務員の年金改革を断行、労働基準法(労基法)改正や「転換期の正義」推進など改革意欲を見せていることは確かだ。

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 それでも各世論調査で「不満」の割合が高いのは、賃金が上昇せず豊かさを実感できない問題が依然解決されないことが最大の原因とみられる。台湾の昨年の域内総生産(GDP)成長率は2.84%で過去3年で最高、株価指数は1万ポイントを超えて安定、失業率(3月3.66%)は過去18年で最低水準となるなど、主要経済指標は良好だ。しかし、物価上昇を加味した給与水準は依然17年前の水準を下回っており、中国時報の調査によると、49歳以下のサラリーパーソンは8割が給与に不満を感じているという。地価はピーク時より下がったとはいえ依然非常に高い水準にあり、蔡政権になっても社会的分配を適切に行う問題は解決されず、暮らしぶりの向上を実感できないと考える市民は多い。

 こうした中、脱原発政策に伴う電力供給への懸念、年金改革などで社会対立の雰囲気が高まったこと、中国との関係悪化で友好国との断交が相次いでいること、中国の戦闘機が台湾を周回飛行して威嚇する事例が増えたことなどの要因も加わり、蔡総統の政権運営への不満につながっているとみられる。

「任期後半で改革加速」

 蔡総統は20日、就任後初めてインターネットテレビの生中継に出演。過去2年を振り返って「構造的な問題に取り組み、成果を出したものもある。今までの2年は準備期間で、これからの2年は改革を加速する」と前向きな姿勢を示した。

 注目の中台関係については「現状維持の政策は変わらない。北京当局の圧力に屈服したことはない」と述べ、従来方針を変更する考えがないことを明らかにした。今後2年も中台関係の改善はなさそうだ。

 中国時報などは今回も、台湾経済を好転させる方策として中台関係を改善する必要性を訴えた。野党・時代力量が今年1月に行った調査によると、民進党の支持率は19.3%、国民党が25.2%で逆転されている。

 民意の現状から、学者の中には統一地方選の結果が思わしくなければ、蔡総統は民進党主席の座を降りることを迫られると予測する者もある。その場合は、蔡総統が20年総統選に再選を求めて立候補することは考え難い。台湾では05年以降、統一地方選の結果がその次の総統選に反映する傾向が続いている。まずは半年後に迫った統一地方選を乗り切ることを目指して、蔡政権は目に見える結果を早急に出すことが求められる。

【図】

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