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小中学校にクーラーを、6直轄市などで導入検討


ニュース 社会 作成日:2018年6月5日_記事番号:T00077442

小中学校にクーラーを、6直轄市などで導入検討

 記録的な猛暑が続く中、台北市政府が市内小中学校の教室におけるクーラーの全面設置を検討すると発表したことをきっかけに、台中市、新北市、桃園市の首長も相次いでこれに追随する考えを表明した。

/date/2018/06/05/18kakomi_2.jpg林台中市長の気前の良いクーラー全面導入宣言の背景には、市長選挙を視野に、先ごろ雑誌アンケートで最低評価となった満足度を改善する狙いもありそうだ(5日=中央社)

 中央の教育部は従来、「クーラーは小中学校の教室に必要な設備ではない」との立場を取ってきた。しかし、台北市教育局は5月22日、教育部に対し、都市部の学校においてクーラーを基本的な設備と認定するよう要望する文書を提出。さらに6月に入り、同市の劉弈霆報道官が小中校にクーラーを全面導入する方向で検討を進めており、現在、設置を想定して校舎に日除け板や屋上の緑化による熱の遮断についての計画を立案中だと明らかにした。

 なお台北市の高校と中学校では既に98%がクーラーを設置しているが、小学校では57%にとどまり、市議からは「裕福な小学校の子供だけが快適な環境を享受できる状況を改善すべき」との声が上がっていた。

 ただ一方で他県市の小中学校ではクーラー設置比率がわずか10%となっている。特に都市部の学校では設置が必要との認識で一致しているものの、導入に予算が必要なことや保護者の意見が分かれていることから設置が進んでいない。

 こうした中、台北市の全面導入方針表明を受け、林佳龍台中市長が、幼稚園から高校まですべてクーラーを設置すると宣言。早ければ今年中に最上階の教室から優先的に設置を開始するとの考えを示した。なおクーラー導入には計16億台湾元(約59億円)の予算が必要となるという。

 また朱立倫新北市帳と鄭文燦桃園市長も、市内の小中学校全校におけるクーラーの全面設置に向けて検討するとコメントした。

 一方、高雄市では次期市長選に国民党から出馬する韓国瑜氏が、「台北でクーラーを設置し、高雄で設置しなければ高雄市民は教育資源が奪われていると感じる」と語り、当選すれば全面導入すると公約した。

 地球温暖化やヒートアイランド現象によって学習環境が悪化する中、「教室にクーラーは必要」では衆目の一致するところとなっているが、やはり問題は予算のようで、子どもたちが集中して勉学に取り組めるよう知恵を絞る必要がありそうだ。