ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

宜蘭の歴史建築取り壊される、県政府の不手際に批判


ニュース 社会 作成日:2018年6月7日_記事番号:T00077491

宜蘭の歴史建築取り壊される、県政府の不手際に批判

 宜蘭県礁渓郷にある築55年のカトリック教会「礁渓聖若瑟天主堂(礁渓天主堂)」がこのほど、夜間にこっそり取り壊されていたことが明らかとなった。同教会は扇形の珍しい構造を持つことなどから昨年、県政府によって「暫定古跡」に指定されたが、暫定期間の期限だった今年4月末に延長手続きが行われず、その隙を突いて取り壊されてしまったため、県政府の不手際を批判する声が上がっている。

/date/2018/06/07/18kakomi_2.jpg無残な姿となってしまった礁渓天主堂。誰がどのような目的で取り壊したのか気になるところだ(6日=中央社)

 1963年に建立された礁渓天主堂は、71年に増築された小児麻痺児童のリハビリ施設としても長らく使用されたが、新たに制定された建築法に合わなくなったことから95年以降は利用されていなかった。そして昨年、教会関係者の一部から建て替え計画が持ち上がり、これが地元の歴史家の反対を呼んだことから宜蘭県の文化資産審議委員会が議論した結果、同年11月、礁渓天主堂を歴史建築物に指定することが決議された。

 しかし同教会の所有者に関する資料が不足していたことから、正式な指定には至らず、「暫定古跡」として再調査を進めることとなった。また暫定期間は今年4月末までとされていたが、県文化局はなぜかこれを延長せず、指定が解除された状態となっていた。

 そんな中、5日早朝、礁渓天主堂の建物のうち、道路に面した教会堂玄関部分の壁を除き、リハビリ施設を含む大部分が取り壊されて、まるで廃墟と化した状態で発見された。これを知った県政府はあわてて6日付けで暫定古跡に指定し直し、残された教会の壁に告示文書を張り出した。

 しかし地元の歴史研究者からは「県政府に対し何度も期限の延長を呼び掛けても遅々として対応せず、取り壊された後で告示を行っても遅すぎる」、「台湾の文化資産に関心を寄せる者にとって最悪の1日となった」などと批判の声が相次いでいる。

 なお宜蘭県は、取り壊しを実行した者を処罰するとの方針を示したが、所有者の財団法人・天主教会台北教区は関与を否定。また同県建設処によると、取り壊しは暫定古跡の指定が解除されていた期間中に行われため、教会には取り壊し申請を行っていなかったことに対する3,000台湾元(約1万1,000円)の罰金しか科すことしかできないという。