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鴻海の半導体事業、垂直統合を加速


ニュース 電子 作成日:2018年6月11日_記事番号:T00077516

鴻海の半導体事業、垂直統合を加速

 鴻海精密工業は、半導体生産事業の展開で、傘下シャープの8インチウエハー工場投資、韓国ハイニックスの親会社SKグループ、およびソフトバンクとの提携を軸に、投資や買収を展開し、中国のリソースを活用しつつ、垂直統合を加速する青写真を描いている。11日付経済日報が報じた。

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 鴻海で半導体事業を担う「S次集団」総経理で、シャープ取締役を兼任する劉揚偉氏は、半導体生産では、広島県福山市の8インチウエハー工場でCMOSイメージセンサーや液晶ドライバICなどを生産するシャープが、工場拡大など投資を計画しており、今後はサプライチェーンの整備に重点を置く方針だと語った。ただ、詳細については明らかにしなかった。

 劉総経理はまた、鴻海はSKグループと長期の提携関係にあり、メモリーは引き続き3D(3次元)スタック構造など新技術の導入を進めるとともに、磁気抵抗メモリ(MRAM)や抵抗変化型メモリ(ReRAM)のような特殊用途メモリーに参入する可能性もあると説明した。

 また、このほどメモリー大手、旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル、MXIC)が鴻海との提携を希望しているとの観測が伝わったことについて劉総経理は、既に同社と接触したことを認めた。その上で、鴻海グループは世界の半導体業界再編の中で先導役を果たすと意欲を示した。

 劉総経理はさらに、中国で既存リソースを生かして半導体事業の発展を図る考えを示した。「まずはあるものを求め、その後に良いものを求める」を方針として、「良いもの」を求める段階で大型投資を行うと述べた。鴻海が最近、中国の半導体大手と接触しているとの観測も出ている。

 劉総経理によると、鴻海は1994年より半導体業務を始め、現在、傘下企業がIC設計、パッケージング・テスティング(封止・検査)、設備などを手掛けている。一方、グループ全体の半導体調達額は年間400億~500億米ドルに上る。

「次集団」、引退の布石?

 なお、鴻海は近年、半導体「S次集団」のような「次集団」の独立運営の度合いを高めており、今年68歳となる郭台銘(テリー・ゴウ)董事長の引退の布石と取れなくもない。

/date/2018/06/11/00foxconn_2.jpg郭董事長は先週、中国広東省の深圳工場の設立30周年を祝ったところだ(中央社)

 郭董事長は先月、北京の清華大学での講演で、90歳近くになっても毎日働く香港の富豪、李嘉誠氏に学びたいと発言したが、先週86歳で引退した台湾積体電路製造(TSMC)創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏のように、郭董事長にもいつかは引退すべきときが訪れる。業界関係者は、傘下事業のスピンオフ(分離・独立)が、鴻海を巨大グループに育てた郭董事長による華麗な転換点になるかもしれないと語った。

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