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BOEが中国製IC採用5割超か、台湾メーカー受注減も


ニュース 電子 作成日:2018年6月19日_記事番号:T00077649

BOEが中国製IC採用5割超か、台湾メーカー受注減も

 米中貿易摩擦の激化が懸念される中、中国政府は液晶パネル中国最大手、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)に対し、中国製の液晶ドライバICを5割以上採用するよう指示したもようだ。聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)など台湾の液晶パネル関連メーカーの受注が削減される恐れがある。19日付経済日報が報じた。

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 市場調査会社IDCによると、BOEは、大型パネルの昨年第4四半期出荷枚数が4,800万枚以上と、世界市場シェア24.2%で首位だった。BOEは従来、液晶ドライバICの大部分をノバテックなど台湾メーカーから調達し、中国メーカーからの調達は少なかったとされる。

 中国政府はBOEに対し、良品率が低くても中国製のドライバICを採用するよう命じたとされる。台湾の業界関係者によると、中国メーカーのドライバICは台湾メーカーより良品率が低い。中~大型パネルには10個以上のドライバICが実装され、うち1個でも問題が生じると動作しなくなる。もし中国製ドライバICの5割以上の採用が事実となれば、BOEにとってリスクが高まる懸念もある。

 中国政府は2015年に製造業振興策「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」を発表し、半導体などの国産化を推進してきた。台湾の半導体業界関係者は、中台は過去1~2年、ライバルかつパートナーの関係を保っていたが、米中貿易摩擦が続く中、中国は米国寄りの台湾からの半導体調達を見直したとの見方を示した。

 ノバテックは、中国政府の半導体国産化推進は既定路線で、同社は特別な措置は講じず、製品の品質向上により、顧客を確保すると説明した。

ドライバIC業界に追い打ち

 業界関係者は、中国のスマートフォンも当初はホワイトボックス(中国語・白牌。ノーブランド、無名ブランド)ばかりだったのが、17年第4四半期には華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、小米科技(小米、シャオミ)、OPPO広東移動通信の中国ブランドが世界5位以内に入った例を挙げ、中国のドライバICの良品率改善も時間の問題だと予測した。

 ドライバICは成熟プロセスを採用し、8インチウエハー工場で生産することが多い。ただ、IoT(モノのインターネット)、カーエレクトロニクス需要の増加で、8インチ工場は生産能力が逼迫(ひっぱく)し、受託生産価格が上昇している。BOEの中国製ドライバIC採用拡大は、台湾のドライバIC業界にとって追い打ちとなりそうだ。

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