ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

故宮南院で破損した古伊万里、日台共同での修復が完了


ニュース 社会 作成日:2018年6月26日_記事番号:T00077795

故宮南院で破損した古伊万里、日台共同での修復が完了

 昨年7月、嘉義県の故宮博物院南部院区(故宮南院)が大阪市立東洋陶磁美術館から借り受けて展示していた古伊万里焼の皿、「青花柳葉鳥紋盤」が経年劣化により破損するアクシデントが発生。その後、日台共同で日本の伝統技法を用いて修復作業が進められ、28日より改めて展示されることとなった。

/date/2018/06/26/20japan_2.jpg修復された「青花柳葉鳥紋盤」を前に出川哲朗・東洋陶磁美術館長(右)と林正儀・故宮博物院院長(左)が固い握手を交わした(25日=中央社)

 「青花柳葉鳥紋盤」は江戸時代の1660~70年ごろに製造された直径37センチメートル、高さ7.9センチの伊万里焼の皿で「出帆万里―日本伊万里磁器特別展」(2015年12月28日~18年12月28日)の展示品として東洋陶磁美術館から貸し出されていた。

 その「青花柳葉鳥紋盤」が皿立てから滑り落ち、3つに断裂した状態で見つかったのは昨年7月18日のこと。当初は管理上の人為的なミスが原因ではないかと指摘する声も上がったが、東洋陶磁美術館の学芸員が急きょ、来台して調査した結果、陶磁器の素材の粘土の構造がもともと弱い上、長い年月を経たため断裂したことが判明した。

 なお美術品が展示中、自然に破損したケースは世界でも極めてまれだそうで、日台の博物館双方が話し合った結果、作品が生まれ変わる過程を世に知らしめようとの判断から、継ぎ目を見えなくするのではなく、金などを使って装飾として生かす「金継ぎ」と呼ばれる日本の伝統技法を用いて日台共同で修復を行うことが決定。約1年をかけて作業が進められ、25日に修復の成果に関する記者会見が開かれた。

 また故宮博物院で所蔵品の修復に「金継ぎ」が用いられるのも初めてのケースで、林正儀院長は「当院にとって磁器の保存と修復に関する良い経験と広い視野が得られた」と語った。

/date/2018/06/26/20plate_2.jpg「金継ぎ」による修復は、適切な湿度でなければ金粉が余計に必要になるという(25日=中央社)

 修復を終えた「青花柳葉鳥紋盤」は今後、年末まで故宮南院の「至宝庁」で個別展示されることになるが、これは従来、翡翠(ひすい)を白菜の形に彫刻した「翠玉白菜」や豚の角煮の形をした瑪瑙(めのう)の彫刻「肉形石」など、人気の高い所蔵品3点にしか認められていない展示方法で、故宮が今回のケースをいかに重要視しているかがうかがえる。

 また故宮南院では、伊万里焼の研究、検査、修復に関するワークショップを28日に開催する他、修復過程を記録したドキュメンタリー映像を放映する予定だ。